41ねむ ページ42
そのご尊顔を拝もうとしているだけなのに首が痛くなる。
それだけ巨大なドラゴンは、何メートル、いや最早キロメートルだろうか、と自分の測定力を疑ってしまうほどだ。
9つの頭はまさに蛇のようで、そのすべての顔が真っ直ぐ先生を見下ろしている。
「……ヒュドラだ……」
すごい。
この世界に神話級のドラゴンと契約を結べている人が何人いることだろうか。
目を見張り、それ以上何も言えなくなってしまう。
それほどの破壊力と畏怖の空気をこのドラゴンは流し続けていた。
「このヒュドラは僕が契約した子だ。触ってみたいものはいるかな?」
誰も手を挙げない。そりゃそうだ、いくらこんな世界でもドラゴンなんてそうそうお目にかかれるものではない。
だが、私に恐れるものはなし。
「はい!」
堂々と手を挙げると、隣からひぇ……と声が上がった。そんなにか?
契約下にいるドラゴンは人間に危害を与えられない。そういう盟約のようなものに縛られているから。だからそこまで必要なく怯えることはないんだけどな。
「はい。じゃあAこっちへおいで」
おいでって。
攻めに言ってほしい言葉トップ10の中の一つじゃないですか。
先生それは私に言うんじゃなくてほかのチワワに言ってください。ドラゴンに怯えるチワワをな?優しくリードしてな?「ほら……おいで……優しく触ってみて……怖くないだろ? そう……」って感じでな?そのまま愛を育むんだよ。
「A?」
「すみません少し躊躇してました」
もちろん大嘘だけど、と鼻をつまみながら私はドラゴンへ歩み寄る。
近くへ歩み寄ると、見上げても胴体がでかすぎてよくわからない。ヒュドラがこっちを見下ろしているのでかろうじてこの子の正体がわかるが、顔をこっち向けていなければ壁かと勘違いしてしまいそうになる。
「じゃあ失礼します……」
そ、と壊れ物を扱うようにヒュドラのお腹であろう表面を撫ぜる。弱点かもしれないそこを撫でられても、びくりともしない彼はまるで落ち着いたようにひたすらこっちを見下ろしている。
その感触は不思議なもので、表面のうろこはとても固いのに少し押せば弾力が私の指を押し返す。表面のうろこは冷たいのに、少し長い間触れていればヒュドラの温かさが手のひらに伝わってくる。
「お前、いい子だね」
そうやってお腹を何度か撫でていると、ゆっくりとヒュドラが顔を下ろしてきた。
「きゃあ!」
動き出したヒュドラを見て、背後から数人の生徒が悲鳴をあげた。
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始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - 礼羅さん» きゃーありがとうございます!生きる糧なんて嬉しい!ゆっくりですが更新頑張ります。これからどんどんキャラ増やすのでどんどん推しが増えますように! (2018年7月18日 10時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ウィワクシアさん» ショートだったのですね……主人公にはない魅力です……! (2018年7月18日 10時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ほたるいかさん» えぇえぇええ嬉しい!ゆっくりになりますが更新頑張ります! (2018年7月18日 10時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
礼羅(プロフ) - 毎話楽しみにしています。本当に素晴らしい作品で、もう生きる糧の一つのようなものです!更新待ってます! ちなみに私の推しは主人公とエドです (2018年6月20日 18時) (レス) id: f42c81b12e (このIDを非表示/違反報告)
ウィワクシア(プロフ) - これ読んでたら高校時代スラックスで通って「どっちですか」って聞かれまくったの思い出した (2018年5月22日 19時) (レス) id: 4474fbdae4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:始まりの神 | 作者ホームページ:
作成日時:2015年8月6日 13時