【銀魂】いつか大人になった君たちへ

願い25 ページ26

坂田side




あの手紙を多串君に貰って、引き出しに入れてから早一週間は経っている。
どうしてもあの手紙の内容と、差出人を見る勇気がなくて。
読もうとしても、手が拒んでしまう。
今もそう。手紙が眠っている引き出しに手をかけるが引っ張ろうとは出来なくて手を離してしまう。


「…何やってんだ俺」


はぁ、と今日で何回目のため息かも分からないぐらい吐いたものだ。そんな俺を見兼ねた神楽と新八。
俺を心配そうな顔をして見るが、俺は二人にそんな表情して欲しくないから、無理にでも二人に笑いかける。


「そんな湿っぽい面してんじゃねーよ」

「それは銀ちゃんアル。なんでそんなにため息ついてるアルか。なんでその引き出しを開けようとしないネ」

「…っ、それは…」


俺が何も言い返せないのを見た新八は慌てて神楽を注意するが、神楽はまだ気になっているようで。


「そんなに銀ちゃんが開けれないなら、私が開けるアル」

「ちょっ、神楽ちゃん、」


新八の静止にも神楽は聞く耳を立てなくて、俺のいる引き出しの前まで来る。

今にも開けそうな勢いの神楽。
俺の代わりに開けてくれようとしてくれるのはありがたい、けれど開けて欲しくない。
開けてしまえば俺が俺じゃなくなりそうなんだ。


「神楽、開けるな」

「どうしてネ。銀ちゃんが開けれないから私が開けてやるアル」

「頼むから神楽、やめてくれ、頼むから」


俺が声を震わせながら言えば神楽は、眉を下げて、引き出しにかけてた手をだらしなく落とす。


「ごめんネ、銀ちゃん。銀ちゃんがそんなに嫌とは思わなかったネ…
私、銀ちゃんがいつもそんな表情しているのが嫌だったアル。銀ちゃんにはそんな表情似合わないアル、銀ちゃんには笑顔が一番だから」


ごめんネ、と繰り返し謝る神楽に俺は心底申し訳なくなって、ごめん、としか言えないのが悔しくてどうしようもなかった。



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