【銀魂】いつか大人になった君たちへ

願い16 ページ17

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いよいよ銀時たちが攘夷戦争に行ってしまう日になってしまった。
銀時にしては珍しく、朝早くから起きて支度をしている。重たそうな甲冑着を身にまとい、刀を腰に差す。

他の子たちも次々に起きては支度をする。
あぁ、本当に行ってしまうのか。

寂しさ故に涙が零れそうになるが、今流してしまえば銀時たちに迷惑がかかってしまう。
だから、そんな私がして上げれることは笑顔で
「行ってらっしゃい」と言ってあげること。

少しでも緊張を紛らわせてあげたいから。

空気に緊張が走る中、桂くんがおにぎりを握り始めた。


「おい、何やってんだヅラ」

「おにぎりを握っているが、なんだ銀時。
貴様も握りたいのか？あ、ちょっと待ってくれそこの皿に銀時用の米を… 」

「うん、普通に聞いた俺が馬鹿だったわ」


いつものようにちょっとした茶番を繰り広げる2人に少しだけ安心した。いつものように、と胸を張っては言えないが、少しだけいつものような場面で。


「桂くん、私にも握らせては貰えないでしょうか」

「おぉ、先生も握りますか！じゃあ銀時とは別の皿に…」

「だから俺は握らねぇよ！」


銀時のキレのあるツッコミに緊張が走る空気にどっと笑いが起こる。
戦争前だというのにそのお陰で場の空気は和み、いつもと変わりないような雰囲気になりつつあった。




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「それじゃあ、行ってくる」


上手く巻けなかった鉢巻を今やお手のものと言うように巻き上げる銀時と桂くん。
本当に、立派になったものだ。

松陽が居なくなって幾数年。彼等は貴方が居なくなったちっぽけな世界でも悠々と勇ましく生きて、成長しました。

初めは松陽がいない日々に慣れなくて、桂くんは泣き出してしまう時があったり、銀時は師である貴方が居なくなって絶望と虚しさに心を張り詰めてしまう、高杉くんは虚ろのような瞳で何も写そうとはしなかった。

貴方がいないというだけで、世界に色が無くなったような、生きていても空っぽだった。

ただ、成長するにつれてあの子達は貴方のために、貴方を救おうと決心して変わりました。

見て下さい、あの子達の顔つきを。
全く違うでしょう？立派に、育ちましたよ。


「必ず、戻ってくるから」

「何年経とうが、私はここで新しい門下生たちと待ってますね。行ってらっしゃい、みんな」


後ろ姿を見送るのが辛くて、今まで堪えていた涙が涙腺を破壊したかのようにとめどなくて流れていった。






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