願い11 ページ12
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年月が経つのは早いもので、あっという間に銀時たちは大きくなり、大人の男性と比べてもそんなに変わらない迄成長した。
嬉しいはずなのに、何処か悲しい。
年を追うことに私たちから離れていくかのような気がしてならなくて。
いつものように剣術に励む彼らに、私は裁縫等の教えを説く。痛い!と言って泣いてしまう門下生を慰めて、手当てをする…といういつもと何ら変わらない日々を送っていた。
そんな何の変哲もない今日、私たちの運命が変わる日であることを今の私は知らない。
いつものように門下生たちが帰るのを見届け、そして五人で夕飯を食べる。
今日の稽古はキツかった、なんて話したり笑い会ったり、いつものように楽しく会話をしながら食べるご飯。温かい湯に浸かり、疲れを癒す最高の風呂。
そんな幸せな時間を堪能していると、一瞬で不幸のどん底へと貶められた。
もうそろそろ寝よう、と思い灯りを消した時だった。外から、ドンドンと門を叩かれるような音が聞こえる。その音からか、寝ていた銀時、高杉くんに桂くんも起きてしまい、松陽も私たちの元へ駆け寄ってきた。
何があってもいいように五人で出ることにした。
そこには、見知らぬ顔が並んでおり、腕にはなにか刺青をしている。
松陽が重たく口を開いた。
「何の用ですか」
「吉田松陽、とはお前か。
朝廷の命令により、お前は直ちに連行する」
突然放たれた言葉。連行する…?
朝廷の命令…?なんのことがかよく分からず、唖然としていると、松陽が取り押さえられていた。
「おい!てめぇら、松陽を離せ!」
銀時ががっつくとそれを抑えるかのように羽交い締めをされて、縄できつく縛られる。
高杉くんも桂くんもがっついてしまい、同じことをされる。
「松陽、松陽、待って!行かないで!!」
私も縄で手をきつく縛られたりと自由に動かすことが出来ない状態に。
銀時も高杉くんも桂くんもどうにかして松陽を引き止めたくて。そんな時、松陽の足が止まった。
「皆さん、あとの事は頼みましたよ。
なァに心配はないよ
わたしはきっとスグにみんなの元へ戻りますから
だから…それまで」
そこまで言うと一度息を吸い、こちらを振り返った。
「仲間を、みんなを、護ってあげてくださいね」
そしてまた前を向き、頭を下げたかと思えばまたあげて、結ばれた手の中で、小指を立てる。
「約束…ですよ」
そう言った松陽は幕臣に連れていかれ、私達の前から居なくなった。
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沖田桜華 - とても感動して、銀さんみたいに目がパンパンです(´;ω;`)沢山の感動を、温かさをありがとうございます!!続き、更新停止中になってますけど頑張って下さい! (2018年11月1日 21時) (レス) id: 98b8c85960 (このIDを非表示/違反報告)
如月龍雅(プロフ) - すごく感動しました!続きを楽しみにしてます(`・ω・´) (2018年2月19日 13時) (レス) id: c52e92d004 (このIDを非表示/違反報告)
オタク - 更新頑張ってください!続き楽しみに待ってます! (2018年2月3日 7時) (レス) id: 7bc9a154f5 (このIDを非表示/違反報告)
しゃしゃねこ(プロフ) - 風華さん» コメントありがとうございます!!ハマって下さってありがとうございます!!更新はゆっくりですが、完結までは突っ走ってまいります! (2017年12月29日 21時) (レス) id: 0f734cf238 (このIDを非表示/違反報告)
風華 - 私も松下村塾の話が大好きではまりました!おもしろいです!更新頑張ってくださいね! (2017年12月29日 21時) (レス) id: 3c5562f198 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゃしゃねこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=80052c2ded6763cad9b2f669385f5dbf...
作成日時:2017年12月9日 15時