これはぶっ倒れても仕方がない ページ3
あの後、鬼は露骨に私に対する態度を変えた。食材としてしか見ていなかったのに、いつの間にかその目には別の感情を感じた。
なお、この時の私はかなり限界だった。
前世の記憶は思い出すし、手を叩いたら鬼が来るし、血の繋がった母も殺された。
本当に、ギリギリだったのだ。
『あぁ、お前は本当に愛い。見れば見るほど愛おしくなる』
『……』
『どうしてそんなに黙る?お前の声を聞かせろ』
勘弁してくれ本当に。
なんだってそんなに私を口説こうとするんだよ。
幼い私は懸命に黙りを貫いた。喋ったらダメだと何故か思っていた。
『不思議とお前を食べたいとは思わねぇ。ただ、お前を愛おしいと思っている』
『……』
『安心しろ。お前の母親を食べた分、俺がお前を守ってやる。当たり前だよな、それが当たり前なんだよ。
理屈にかなってるだろ?なぁ?』
そう言いながら、鬼は私の頭に手を伸ばした。
……あ、やべっ。殺される。
咄嗟に目を瞑り、訪れるであろう痛覚に備えた。
…………けれど、私の頭にはそんな痛覚は襲ってこなかった。鬼はただ、私の頭を己の爪で傷つけぬように注意をしながら撫でたのだ。
『……ッ〜〜!!!!』
ふわりと臭った母の血の香りに、私の精神は限界を迎えた。
足の力が抜け、体が前に倒れた。……そしてその倒れた先には鬼。
私は鬼の反応を見ることすら出来ず、ただ意識を手放した。
いや、私よく頑張ったほうじゃない?これ小さい時だよ?すごくない?ほんと。
自分の母親を殺した相手に好意?を持たれて、挙句の果てには『俺が養う』発言。どう考えてもバッドエンドです本当にありがとうございました。
……その後、目を覚ましたらあの鬼は消えていた。
私のいた場所も住み慣れたあの家ではなく、どこか違う、この時代からしてみれば近代的な所に居た。
『あら!ようやく目が覚めたのね?』
私が体を起こすと、机に向かってなにやら作業をしていた女の人がこちらを向いた。
長い黒髪にサイドにある2つの蝶の髪飾りが良く似合う人だった。
『どこか具合の悪いところはない?』
『……は、はい。大丈夫、です』
『そう!それは良かったわ』
貴方だけでも助けられて、本当に良かった。
そう本当に嬉しそうに言うものだから、私にはその人がマジ物の女神か聖母かと疑ってしまった。
……まぁ、彼女が私の言ってたオニコロ隊、もとい鬼殺隊の一員であることを知った時にはぶったまげたが。
435人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
けいこ(プロフ) - あの…メチャクチャ失礼な事聞きます!!私メチャクチャ似てる作品見まして…名前は忘れてしまいましたが…すいません!! (2020年6月3日 18時) (レス) id: a0b9e4dc28 (このIDを非表示/違反報告)
宇柚 - 面白い……そして次いいところなのに (2020年3月3日 23時) (レス) id: 0e56321508 (このIDを非表示/違反報告)
高田 - ここさん» コメントありがとうございます!続きの方は気長にお待ちしていただければと思います…!ゆっくり自分のペースで更新していこうと思います! (2020年2月16日 12時) (レス) id: 59b0e3aa20 (このIDを非表示/違反報告)
高田 - ヤトさん» コメントありがとうございます!ゆっくりマイペースで更新していこうと思っておりますので、気長に続きをお待ち下さい…! (2020年2月16日 12時) (レス) id: 59b0e3aa20 (このIDを非表示/違反報告)
高田 - りなさん» コメントありがとうございます!応援していただけてめちゃくちゃ嬉しいです!ゆっくり更新となりますが、気長にお付き合いください…! (2020年2月16日 12時) (レス) id: 59b0e3aa20 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:高田 | 作成日時:2020年1月27日 7時