【忘却の街】切り捨てられた星

★storia★夢と現 ページ10

extra→アーサー



夢を見た。暖かくて冷たい夢。



私はまだふたご座で。

お姉ちゃんと一緒に笑ってて
そこには、アーサーも一緒にいて。


あぁ、きっとこれが現(うつつ)だ。


そんなはず無いのに。

どんなに夢を見ても、焦がれても
もう２度と同じ幸せは手に入らないのに。


夢だと知りながら、手を伸ばした。


手を伸ばした瞬間、
辺りが真っ暗になって音もなく崩れ落ちた。


ひとりぼっちになった、その真っ暗な中で
必死に｀何か´から走って逃げた。


叫んでも、転んでも、泣きじゃくっても
その｀何か´は膨らんでいった。


ふと、どこからか柔らかい光が視界に入った。


顔をあげると大好きな街と街のみんなが笑っていて。

足を止めて、また手を伸ばす。
その柔らかい光は手にゆっくりおさまってく。


すると、今まで逃げていた｀何か´は消えて。


何だ、今、幸せなんだ。
違う幸せが、ちゃんとある。

手には暖かい光が灯ってる。
未来も明るい道が灯ってる。



、




目が覚めたのは、霧がかった滝のふもと。


霧は、ここに来た時の
苦しい気持ちを思い出してしまうから、
少し苦手だったけど


隣で眼を閉じているアーサーや
同じ歩幅で歩いてくれる街のみんなが

笑って、一緒にいてくれるから
もう大丈夫。


『ありがとう、アーサー』


ポツリ呟いた言葉は滝の音がきっと消してくれたはず。






、

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