十二眠り目。 ページ12
七十万という懸賞金の額を聞き、意気揚々と私たちの前職中てゲームに身を乗り出した敦さんは、「勤め人」や「研究職」、「作家」や「役者」など、思い付く限りの職業を勢いよく並べた。
その全てに対して「違う」と答えた太宰さんは、「役者は照れるね」と頬を染める。
余りの気色の悪さに歪に歪みそうになる表情筋を必死に食い止めながら私は笑った。
「太宰さんが表舞台に立ってその存在を世間に知らしめようとするなんて、バイオテロも良いとこです」
「何の躊躇もなく人を病原菌扱いするのだなAは」
「まぁ流石に役者はないとしても……矢張り浪人か無宿人の類だろう?」
諦めていないのは敦さんだけではなく国木田さんもらしい。
納得の行かないような顔で云う。
「違うよ」と答えて太宰さんは席をたった。
「この件では私は嘘など吐かない。……うふふ降参かな?じゃ此処の払いは宜しく」
と太宰さんが顔を歪めて云う。
今度こそ胃酸をテーブルに撒き散らすところだったが、何とか我慢をしていると、不意に私の携帯電話が鳴る。
受付の役割は基本的に私が担わさせてもらっているので、依頼の電話は全て私にかかってくる。
「ご馳走様〜」という生ぬるい太宰さんの声を聞き流しながら、電話に出た。
『もしもし、そちらは武装探偵社でよろしいでしょうか』
電話の主は女性で……
私はその声を知っていた。
「はい。ご依頼でしょうか」
そして、あちらはきっと私のこと知らない。
知り合いの知り合い、という曖昧な関係にあたる人物だが、その関係図はかなり黒い物だ。
こんなにわかり易い襲撃もそうそう無いな、と思いながら、私は彼女を武装探偵社に招待した。
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まっちゃ - すごく面白いです!更新待っています (2021年8月17日 14時) (レス) id: bd6a8b3525 (このIDを非表示/違反報告)
すい - はじめまして。つい、一気に読みきってしまいました。 素敵な作品をありがとうございます!! (2020年8月10日 20時) (レス) id: 00923fd203 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - キタさん» お気遣いの言葉、ありがとうございます。作者は受験生の身ということもあり、春までは超不定期更新が続くと思いますが、少しずつ更新して行きたいと思っております。コメントありがとうございました (2016年11月4日 4時) (レス) id: 5a4cb24d14 (このIDを非表示/違反報告)
キタ - 続き、待ってます!あ、でも無理はしないで頂きたいです……(汗 (2016年8月7日 17時) (レス) id: 8f0d08bbdf (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - キタさん» まじですか……光栄すぎて言葉出ねぇです……夢主ちゃんについても、これから明らかになっていく予定ですので、どうぞ生温かい目で見守りください。コメントありがとうございました (2016年7月11日 2時) (レス) id: 851c864111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水団子 | 作成日時:2016年5月15日 5時