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「ああ……んなわけねーじゃん」



「「「「ホントに!!」」」」



「よかったー!」



「だから、ゆったじゃ──ん」



「でも、よかったよなー。デマで」



「ひと安心ってとこか」






殿内の言葉を聞きながらAはお茶を汲み続けた。
安心したように笑う皆を見て、この嘘は吐いてもいい嘘だと理解した。


つい先程、特力へと来る前に蛍と口外しないでおこうと打ち合わせた事実。


自分の失態で危うく悟られるところだった。Aは気を緩ませてそっと溜息を吐いた。だが、しかし。





「A?」



「ぅあ、はい?!」





頭上で聞こえた声に驚いて慌てて飛び退いた。そこには当然ながら一緒にお茶を汲んでいた野田。


じーっと見られては、深く吐かれた溜息。それには何の意味が込められているのか。


なんとなく察したAは誤魔化さずに素直に謝った。





「その、偶然聞いちゃって……ごめんなさい」



「内緒ですよ」





口元に指を立てて囁かれた言葉にコクコクと何度も頷き返せば、野田はAの髪を優しく梳いた。





「じゃあこの事件、学園内は安全ってことか?」




「子供は安全?」





情報通である殿内の言葉を聞き、何の疑う事なく信じた蜜柑達は胸を撫で下ろした。





「んー。まあ、俺もこの件に関しては
そこまで事情知ってるわけじゃねーからなー、何とも」





言葉を濁らせて頭をかきながら返答に困まっている彼に代わって野田が答えた。





「一概に、まだそうだとは言い切れませんが調査の結果どうやらウイルスなどによる紛失の線は薄くなっているようです。

そうなると、「感染」などの恐れはなくなるワケで、その他の人為的な原因の線となると学園(ここ)はまだ安全と言っていいかもしれませんね」



「…えーっと。蜜柑ついてこれてる?」



「(ぽけ──……)」



「……」



「…何かのだっちの説明はまわりくどくて分かりにくいんだよなー。もっと分かりやすくハッキリ言って?」



「コラ、翼…」





丁寧に説明して貰ったが、翼の太腿に座る蜜柑にはちんぷんかんぷんで全く理解できていなかった。


そんな彼女に困った表情を浮かべる野田に、文句を言う翼を窘めた殿内。


Aは目を瞑って、眉間に皺を寄せながら考えた。


───アリス紛失者は確かに学園内に出た。


その人物が外の仕事に同行しているかどうかは別としてウイルスではなく、人為的な原因で紛失=その人物との接触が危険又は注意、と。

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未来(プロフ) - 七瀬あおいさん» コメントありがとうございます!お気遣いまでしていただいて有り難いかぎりです。引き続きよろしく読んでいただけると嬉しいです。更新頑張って参ります! (2021年7月29日 15時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
七瀬あおい(プロフ) - このシリーズとても大好きなので更新めちゃくちゃ嬉しいです。これからも未来さんのペースで構わないので頑張ってください。 (2021年7月24日 22時) (レス) id: 56c81eaebe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:未来 | 作成日時:2021年5月20日 0時

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