星々の輝き、祈り。16【学園アリス】 (ページ6)

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「蜜柑、翼くんっ、あたし達が援護するからっ」

「ひー！！」

「星取られんじゃねーぞ！」

「A、後ろ！」

鬼の形相で星を奪い取ろうとする敵に蜜柑は怯えてる。相手からの攻撃を避けて方向転換しようとした時、髪の毛を思いきり後ろに引っ張られた。

「おい！お前ら、何してやがる！！やめろ！！」

「…な、なんでっ！」

何とか立て直して後ろを向いた。あたしに掴みかかってきたのは、本来味方である筈の紅組の男の子達だった。

体育祭中はどんな理由があろうとも暴力は許されない。あたしはできるだけ傷つけないように、だけど、かなりの力を込めてその手を押し返す。だから取っ組み合いに発展してしまった。

「ねえ、ちょっと…今の見た？あれ、おかしくない？」

「佐倉さんと白崎さんを攻めてる敵の中に同じ紅組(味方)が混ざってる………！？」

Aの髪を引っ張って首を絞めようとするその行動に、彼女達だけでなく周り居た生徒や先生、観客席の人達は焦りと不安そうに見つめる。

「おいお前ら、味方のくせに何考えてんだ！Aッ！手振り払え！」

「…り、璃音くん、この人っ、念力のアリスで…、力が、入らないっ！」

この人、この間から妙に絡んできた…

あの日の練習中の騒動の時の人だ、小泉さんにべったりだった。でも様子がおかしい。

「…っ…！！」

男の子の力に耐えつつ、その後ろに居る小泉さんの顔を見てゾッとした。おぞましい、この状況を楽しんでいるような顔に。

──あ……もしかして、小泉さんに操られてるの？

「───…っ！！」

璃音くん達も押されてバランスを崩し、あたしの重心が後ろになって体勢が崩れそうになる。

ヤバイ。このまま押されたら倒れる。何とかしなきゃ。この子のアリスを抑えなきゃ。

小泉さんのアリスから守らなきゃ。助けてあげなきゃ。

「──…止めて！お願いっ！」

お願い、あたしのアリス…っ！
この子を小泉さんのアリスから開放して！お願いっ！！

「………！！」

無我夢中でアリスを使った。その瞬間、夕日のような橙と太陽のような赫があたし達を包んだ。

一瞬の、しかし強烈な輝きを秘めていた光が止んだ時、襲いかかっていた男の子達の正気に戻った。

「…え、…あ…あれ…何で、こんな…どうして………何でオレこんなこと……、」

申し訳なさそうにあたしを見つめる念力のアリスの男の子は不安そうな表情を浮かべる。