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「ベアは要くんに命を与えられた。だから、要くんの希望にならなきゃいけないの。
要くんに喜んでもらったり、楽しい気持ちになってもらえるように」
ベアにとって要はとても大切で、だからこんなにも一生懸命なんだってことは、痛いくらい承知しているA。
だからこそ、ベアの願いを叶えることはできない。
「あんまりしつこいと、要先輩にちくるからなっ！」
「あ──あ」
「バカな奴………」
「ほどほどにね、ベア」
いつまで経っても納得してくれないベアに蜜柑が怒鳴りながら言うと、ベアが攻撃を仕向け始めた。
さっきまで大人しかったベアが急変した事で、いつものようにベアに追いかけ回される蜜柑を見て、Aは苦笑を浮かべた。
「おい、お前らか。白崎Aと佐倉蜜柑って」
蜜柑が青い顔をしながら、ベアに付き纏われているAの隣を歩いている時、誰かから声がかかった。
「何だよ、盗みのアリスっつーから、どんなら奴かと思ったら、ただのチビ２人じゃん」
声をかけたのは中等部生が数人。だけど、その目つきと言葉から、よくない感じはヒシヒシと伝わってくる。
「なぁ、本当にこいつらにアリス盗られて証拠を持ってったら星階級一つ上がるのかよ」
「竹田は学園の役員っぽい人にそう言われたって言ってたぜ。どーせこいつら何か悪いことしたんだろ、チビのくせに」
「大丈夫なのかよ、盗られてもちゃんとアリス元に戻るだろうなー」
「いいから、とにかく力ずくでもアリス盗らせようぜ！他の奴らに抜けがけされないように」
「…！、やっ、(やだ…来ないで、“近づくな”！！)」
中等部生徒達は２人に近づこうと身体を動かそうとする。だが、身体が動かない。Aがアリスを発動したのだ。
動けない中等部生徒達を尻目にAは蜜柑とベアを連れ、その場を後にした。
「みんな大変だよっ！中等部の間で、Aちゃんと蜜柑ちゃんの“盗みのアリス”について変な噂が流れてて！
よく分かんないけど、噂に踊らされた中等部生が２人を狙ってるんだ。２人とも今、追われて行方がわかんなくなって......助けに行かなきゃ....っ」
Aと蜜柑は、必死に中等部の生徒達から逃げていた。
さっさと初等部に戻るのが吉だと思ったが、そうはいかなかった。
中等部で自分達のアリスについて、変な噂が流れているらしく追っ手が絶えなくなっているのだ。
今まで逃げ延びれたのはベアのおかげで、追ってくる中等部生徒達に、パンチなどをお見舞いしてくれた。
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作者名：未来 | 作成日時：2023年11月1日 20時
