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蜜柑にとって単純な疑問だったんだろう。それに一早く返事を返したのは紛れなく蛍だった。





やめとけば?
だって何か色々、印象悪くなりそうじゃない。


今より余計目つけられそう、そのアリス。黙っとくが吉。せいぜい殿、翼あたりに相談くらいがいいんじゃない?」



「ほ…蛍────っっ!!
オマエのさっきの一連のセリフは一体っっ!!」



「(今井、もっていき方が力技すぎ…)」





蜜柑の星2つ目の淡い望みは、呆気なく打ち砕かれた。結局、蛍の意見で蜜柑のアリスについては教師達に報告しないこととなった。





「(盗みのアリス──………)」





蜜柑と同じような現象が身体の中で起こってるAは、皆に心配をかけたくないと、まだ誰にも言えずにいた。


Aに盗みのアリスの力はない。ならどうやってアリスストーンを生み出したのか。考えれば考えるほど、その謎は深まるばかりだ。





「こら──!全くクソガキ共………っ!」


「つかまえたらタダじゃおかんぞっ!」





風紀隊の叫び声が聞こえて、パッとそちらを向く。何人
もの風紀隊が投げつけられたらしいくっつき玉によってベタベタになっているのが見えた。





「みてみて、また出たよテロ犯」


「学園の締めつけに抗議して最近、風紀隊相手にいろんなアリス道具で仕返しするっていう…」


「アレ、何人もの子が交代でやってるって話だよー」





またか、と大袈裟に溜息を吐く璃音。最近、学園内(主に初等部内)で風紀隊相手にテロのような事件が起きているのだ。





「璃音くんは、最近のテロ犯どう思う?」


「ん──…まあ、憂さ晴らしみたいな感じだからな、気持ちは分かるけど」


「…あたしも、気持ちは分かるけど。でも少しやりすぎな気がして…」


「そうだな。まあ、俺は愛しの妹に被害が出ないなら、あんま気にならないかな」


「…なっ、…サラリとそんな恥かしい事言わないでっ」





本当に、心からそう思う。
Aは俺の大切な大切な宝物だから。

Aが傷付かないなら、俺はそれで構わない。
本気でそう思うよ。





「日下部くん…」


「……小泉さん」


「ちょっと、いいかな…?」





小泉月が転入してから数日経った頃。口元に手を添えて控えめな笑顔を見せる月。


珍しく声をかけてきた月の側に棗はいなかった。璃音と月は、廊下から人目のない校舎裏へと移動した。





「白崎さんと兄妹だって聞いたんだけど、本当?」


「…そうだけど…それが?」


「すごーい。私、双子って初めて見たの」

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作者名:未来 | 作成日時:2023年11月1日 20時

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