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「敵なんて多すぎてもうここまできたらどーでもいいよー〰︎︎〰︎︎」
「こ…怖かった…それより作戦が上手くいってよかった！一気に星６つも取れて優勢だよっ！」
「おっ、２人していい根性だな。けど、こんな作戦もう使えねーぞ。向こうしたろうし。今ので俺も蜜柑もAもアリス残り１つになったし」
話しながら遠巻きに白組を見つめた時に、誰かがAと蜜柑の頭をポンと叩いた。
「大丈夫！後は俺らに任せとけ。小さいのに囮なんて、よく頑張ったな。おかげで組中にいい勢いついたぜ！」
「よ──し、こいつらに続いて俺らも行くぞ──！」
その声をきっかけに味方の騎馬が声を上げながら、白組の騎馬へと向かっていく。
《紅組、通称無敵艦隊、総攻撃はじめました──っっ！
体育祭ラストにきて、ここから紅組の、怒涛の快進撃のはじまりです！！》
紅組の皆はAと蜜柑に圧されて、総攻撃を開始する。勢いづいた紅組を見て、２人は思わずハイタッチする。パァン、と気持ちのいい音が朗々とその場に響いた。
「柚香」
とあるカフェで、柚香は静かに新聞に目を通していた。呼ばれて振り向くと相棒が佇んでいた。
「志貴」
手には何かの封筒が握られていて、表情はいつも通りで分からない。柚香は大概無表情な志貴を見つめて微かに笑うと、彼の話を聞く態勢に入る。
「詩から気になる情報が入った。それからこれを茜から預かった。見て欲しい。ここ最近、佐倉蜜柑や白崎Aに関わる人物リストの……」
懐かしい名前に、柚香の顔は少しだけ穏やかに変わる。目黒詩は自分の先輩だ。志貴によれば彼女は今、学園の病院で働いているらしい。
昔から詩と志貴の仲はかなり良かった。いや、多分彼女は志貴のことが好きだったんだろうと思う。これはあくまで自分の憶測なのだけど。
「この写真、」
「これ一枚で分からないなら、もう１枚…」
彼女から志貴という存在を奪った自分に情報をくれる詩と、危険な調査に自分を顧みない茜を心配しつつ、２人に感謝して、目の前に置かれた２枚の写真に目を映す。
それぞれ小学生と大人の姿だが、その２つはとても似ていた。成長過程のように。
「この写真、あたしや茜と同じクラスにいた、あの…」
そうして柚香は驚愕した。見覚えのあるかつての友人の姿に。
「吸魂のアリスの、小泉月…！？」
柚香の胸中に新たな不安が生まれた瞬間だった。柚香はただ写真を食い入るように見つめる。
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作者名：未来 | 作成日時：2023年11月1日 20時
