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鳴海がB組全体に、星野のアリスがなくなったことを正式に発表した。
アリスがなくなってしまった星野は一週間後、春休みに入ってすぐに学園を去る。
委員長の時とは違う、アリスの寿命を迎えての別れ。
“子供の頃のみ、能力者”というタイプと、初等部という組み合わせゆえ、どうしても数年に一度の割合で起きるものの、誰も慣れるわけではない。
どうしても、クラス全体が落ち込みかがちだ。
───僕の中の小さな決意。
形にするには
やっとつけるようになった嘘。
それが必要なら………
『ぼくのことは気にしないで。ぼくはだいじょうぶ。』
『アリスなくなっても、ちっとも悲しくないよ。ホントウだよ』
『みんなと別れるのはさみしいけど、心ぱいしないで。やっと家族に会えるんだし、帰れるのもうれしいから、大丈夫』
それでも落ち込むばかりではなく、どうにか楽しい思い出も作ろうとして、短い期間の中に、星野と遊ぶ予定を次々と詰め込んだ。
放課後にはクラスの大半の人がセントラルタウンへ遊びに行って、特力でも、星野とのお別れ会をした。
「せんべつ、何するか迷ったんだけどさ。やっぱ、これが一番だろうということで、みんなのアリスストーン。小さいけどな。ほっしゃんが、ここで俺らと一緒に過ごした証として、もらってくれなー」
「ほっしゃん。はいこれっ、音のアリスストーンだよ。あたしのアリスは思いや気持ちが一番大切だから。何か大事な時があったら、いっぱい気持ち込めて使ってね」
『ありがとう、Aちゃん』
「はい!ものすごく頑張ってやっと作ったよ──!!」
『……。ごめん、いらない…』
星野は殿内やAのアリスストーンを嬉しそうに貰っていたけど、何故か、蜜柑のアリスストーンは拒否して、首を横に振った。
特力のお別れ会から2日後。
終業式のあった日に星野は熱が出て寝込んでしまった。その事を耳にした翼と美咲、殿内がお見舞いにやって来た。
「……よう、A。ほっしゃんは?」
「熱は下がったけど、まだ寝てると思う」
「そっか…起こさない方がよさそうだな、それじゃ。
仕方ない…」
「やっぱ、ここ最近の事で疲れてんだよ。いくら家族のとこに帰れるのが嬉しいっつっても、今回の件が辛くないわけねーんだし」
星野は、はしゃぎ過ぎたと言っていたけど、きっと学園を出る不安が体調面に影響を及ぼしたのだろう。
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未来(プロフ) - 感想ありがとうございます!完結までまだまだ先は長いですが精進して参りますのでよろしくお願い致します。 (9月5日 19時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちゃ(プロフ) - 更新待ってました!これからも楽しみにしているので頑張ってください! (9月5日 8時) (レス) id: 7447c314b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未来 | 作成日時:2023年7月24日 10時