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棗に戦慄が走った。5人の侵入者とは、きっとA達だと考えて間違いはないのだろう。きっと自分を追って来たのだ。


今すぐにでもA達を蹴り飛ばして、此処に来ることを止めたかった。しかし、同時に彼女の頑固さを思い出す。





“棗くんっ、”





仲間を助けるため、と言っては迷うことなく真っ直ぐに追いかけてくる。本当に大馬鹿野郎ばかりだ。


けれども、今回ばかりは本当に危険なのだ。棗はチッと舌打ちをする。





「颯、あんた行っておいで‪☆」


「え──何でだよ、やだよ。
いつも俺ばっかり損な役ばっか」


「雑魚相手なんだし、5人くらいラクショーでしょ?
まさか自信ないわけー?‪☆」


「な…っ、ちが──う!
俺すっげー、棗をギタギタのボコボコにすんの楽しみにしてたんだぜー!?俺がどんだけこの日を、」


「ハイハイ。5人マッハで片付けて戻ってきたら、やらせてあげるから‪☆これも可愛い後輩への試練よ♡」


「いっやっだ──!」


「はよいけ‪☆」


「ちくしょう…鎌、釜、お──カマ!」


「さっさと行けよ…」


「すぐに戻ってギッタギタにしてやるからなーっ!
待ってるよ!」





ぐだぐだと、さらには禁句を言った颯をボコボコにするルイ。そんな彼らに終止符を打ったのは八雲である。


制裁命令が下されている以上、手加減などしないのだ。面倒なことになった。


A達の元へと向かう颯の背中を見つめながら、冷や汗を流す。





「棗。5人のバカな援軍のお陰で、少しはやる気が出ただろう」


「何が…っ」





相変わらず気味の悪い笑みを浮かべたまま、言い続けるペルソナ。





「ここは姫宮の結界の影響が及ぶ最たる所。

我々のアリスの影響を、この建物が受けたりする事が極端に少ない代わりに、我々もこの建物内で、通常の力の半分も出せるかどうかというところだ。

処罰部隊(彼ら)と比べて、この建物に慣れてないお前にはなおさらだ。

もしそんな中で、お前が彼ら全員を倒すことがあれば、お前の望む問いに答えてやろう」



「(葵は今どこに──…)」





そこで彼はクスリと笑う。





「だが、もしできなかった時は──…お前は───…」





三日月型に緩むその口から、衝撃的な言葉が紡がれた。棗は信じられなくて目を見開かせる。





「なに…!?」


「お前に断る術はないはずだ、棗。
さあ、始めようか……」





笑みを浮かべて告げた声は、静かな廊下に響き渡った。

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作者名:未来 | 作成日時:2023年3月24日 23時

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