星々の輝き、祈り。11【学園アリス】 (ページ49)

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「……おい。まだ夕方でもないのに妙に空が赤くないか？」

「やだ…ちょっと…丘の上を見てよ」

「火事…！？」

「(何だ…？さわがしいな…)」

「火が丘からすごい勢いで町をおそってるぞ！」

「みなさん、ただちに避難して下さい！」

「どれだけ消してもなかなか消えない火だって！」

丘の上……葵っ！！

「みんな、はやくにげて！」

「まだ火の中に人が…っ、どんどん火が引火していくぞ」

町に出れた棗と流架。火の手が近くに迫りつつある中、町の人達は避難の準備に入っていた。鳴海は叫ぶように電話で学園に救援を要請する。

「アリスによる大火災なんです！
大至急、学園による消火部隊を……っ、

それと体内の増幅石を何とか解毒する…」

町の至る所に広がっている消えない炎。町から避難する流架の母親は、２人を見つけて声を上げた。

「ルーちゃん、棗チャン！２人共無事だったよね！」

「パパママ…っ！はやくにげて、僕は大丈夫だから！」

２人は避難の救助や援護をして行くが、建物についた火は一瞬にして燃え広がってしまう。

「わ！」

「ルカ！」

「おい見ろ、あの少年…火に包まれても無キズだぞ」

「え！？」

「みろ！あの少年のまわりの火は消えていくぞ！
何者だ！？」

町の中で走りまわる棗を見て、町の人達は驚きや戸惑いの声をあげた。

「私知ってる。あの男の子、前にも学校で爆発騒ぎ起こしてたっ！丘の上にすんでる転校生だよ。炎のアリスをもってるってみんながいってた！」

───…その後、事態は収拾した。
病院に着いてすぐに棗と流架は手当てされた。

「２人共、きなさい」

鳴海とアリス調査員が来た瞬間、棗と流架は警戒したが大人しく彼らについて行き、葵がいる病室に向かった。

「町はほぼ全焼……
奇跡的に死者は出ず、怪我人も多くは出なかった。

火災原因については、今の所、公には調査中という事にしてあるが…」

集中治療室に連れていかれた葵の手術が終わっていた。病室の奥で眠っている葵。彼女の目は白い布に覆われている。葵のその姿を見て、棗は声を上げる。

「葵！」

「静かに」

「今は命に別状はありませんが、絶対安静です。
長時間の高熱とアリス暴走による身体、精神的負担から記憶の一部と…視力を失ってる可能性が…」

待っていたのは、あまりに残酷すぎる事実だった。医者からされた説明に、棗と流架は言葉が出なかった。