検索窓
今日:2 hit、昨日:46 hit、合計:8,163 hit

533 ページ43

「よかったねルーちゃん。
お母さんのOKもらえて!」


「うん。てっきりモーレツに怒られるかと…」


「ごめんなルカ君。ウチ布団3組しかなくて…
しかも寝室1つで」


「そんなこと…楽しいです」





本を読む棗と同じ布団に入っている流架は、嬉しそうに笑っている。葵は父親の隣ですでに眠っている。





「おじさん…画家さんですか?お仕事…」


「え?分かる?画家オーラまとってる?」


「びんぼー画家オーラな」


「いや、絵がいっぱいあるので…」





流架が言った通り、寝室の壁には沢山の絵画が飾られていた。





「あの絵…」





流架の目がふと、1枚の絵に向けられた。切れ長の紅い瞳と漆黒の髪、綺麗な女の人の絵だ。





「ああ、それは僕の奥さん。棗達のお母さんだよ」





棗のお母さん…わ…キレ─…
棗にそっくりだ。




「棗に似てるだろう?性格も似てるんだよ、コレが…
棗達が小さい時に、事故で…亡くなってね。

彼女はアリス学園のマドンナで、僕は冴えない一生徒。ある日、彼女にバスでチカンから救ってもらって、そこから2人の交際が…あれ?聞いてない…」





棗のお母さん
事故で亡くなったんだ………





「本当は事故がどうか分かんねーけどな」


「え…」


「親父と母さんは、アリス学園の体制を批判する活動を
してたんだ。そのいざこざの中で事故だったんだろう?親父」


「棗…」










おねがいよ、あなた…


ともすれば危険ともとらえる炎のアリスと


学園にとって
危険思想にある親をもつと見なされたこの子達が


学園につれていかれたら
どんな運命がまっているか…


おねがい、あなた。


この子達を守りぬいて…………


おねがい…………






「やめようかこんな話、ハハ…ほら、ねよう!
夜更かしは美容に悪いからねルカ君!今夜は星がキレイだから、明日はきっといい天気だな………」





──少しでも長く


一緒の時間を過ごせたらいいね…





ねえ、棗。
俺はこの時、心からそう思ったんだよ。





棗の家に泊まった次の日。流架は自分のルカ日記にこう記した。


『泊まった事を棗と2人であやまった。
ついでにおねがい事をしてみた。だめもと』


母親は勝手に棗の家に泊まった事も怒らずに許し、棗を咎めることもしなかった。





「……イイワ。

車デノ送り迎えハ、モウヤメマショウ。車ジャア確かにお友達と道草の1つも出来ないモノネ」



「「おくさま、いけませんて!」」

534→←532



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (14 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
43人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:未来 | 作成日時:2023年3月24日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。