星々の輝き、祈り。11【学園アリス】 (ページ38)

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「早々に、我が学園に御子息を引き渡されることが、お互いにとって一番の道であることを、はやくお気付き下さいますよう…」

今までのスカウト連中とは、ちがう……

「私共がこの町に滞在中にご決心の程おきかせ下さい。
…これは、最終警告です………」

「いや、何もないならいいんだ……」

何か嫌な予感がする…

「いつも学園の人達が来ると、お兄ちゃんとお父さん、葵だけ別の部屋に行かせて、何にもおしえてくれないんだよー。

いっつも葵ばっかり仲間ハズレなの──。
どー思うルーちゃん。葵もう２年生なのにー」

その時、車の中から３人の様子を伺う男の存在に棗だけが気付いた。

「(またあいつ…っ
こんな所まで…気味の悪い奴…っ)」

「──おいで……同類…

お前は私の仲間…

同じ闇に生きる宿命を持つ者…

──決して逃がさない…」

「……葵ちゃんて、棗とは正反対だね。雰囲気とか…」

「うん、よく言われるー。明るくてかわいいねって」

「そ…そう…」

｢ほら。お兄ちゃんて、全然笑わないでしょ。
アリスのせいもあって、いっつもみんなに怖いって誤解ばっかされてきたから。こわいんだけどー。

しょーがないから、一緒にいる葵がお兄ちゃんの代わりに笑ってるんだー！もう笑顔がくせになっちゃった」

葵ちゃんは、棗とは正反対の女の子だった。本当に良く笑ってた。凄く綺麗な、陽だまりのような笑顔。

「お兄ちゃんが少しでも、つらい思いしなくて良いように」

「(つらい思い…？)」

──あ…

そんないいもんじゃねえよ。

みんながみんな、この力をいい風に捉える奴ばかりなら
こんな移りまわるような苦労はしねーっつーの

「葵が笑ってお兄ちゃんの周りを明るくしてあげたいんだー」

アリスのせいで、棗達は今までに
何か、やな事がいっぱいあったんだ………

「あんな風だけどいつだって葵の事、守ってくれるお兄ちゃんだから、葵もお兄ちゃんの事、守りたいの。ああみえて、本当はお兄ちゃんすごくやさしいだよ──」

「俺だけならともかく
妹も狙われてるってなれば、放っとけねーからな」

「…葵ちゃん、お兄ちゃんが大好きなんだね」

「うんっ！えへへ…」

葵ちゃんはそう言って笑った。
綺麗な笑顔だった、本当に綺麗な笑顔だった。