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「あの……｢ルーちゃん｣？」
とある日の休み時間。
皆とバスケをしていてボールを持っている流架にゴール下に立つ１人の女の子が声をかけた。
はい……？
「やっぱり｢ルーちゃん｣だあー！思った通り！
お兄ちゃんに聞いた通り、本当に金髪だぁ〜」
「(だ…だれ？！)」
「日向棗の妹の葵です。
はじめまして。お兄ちゃんがいつもお世話に………」
ペラペラと話す少女の頭を、棗はがし…っと鷲掴んだ。
──棗が転校してきて、一週間が経ちました。
「わりい、ルカ。こいつがあんまりしつこいから、お前の事、少し話したんだ」
葵の頭に拳骨を喰らわした棗。彼女の頭にはたんこぶができており、プンプンと笑いながら怒る。
「まさかこいつ、探りに来るとはな」
棗が家族に僕の事を…、…ん？
「…僕の事、もしかして家族の人に｢ルーちゃん｣て名前で話したの？」
「……」
「え？本名｢ルカ｣っていうの？わ──！
かっこいい名前！」
目を合わせず押し黙る棗は、流架の手から落ちたボールを指の上で回しはじめた。
「棗君の妹！？わ──かわいー！！」
「うん♡よく言われるの」
「やな奴だろ、ムカツクだろこいつ…だから会わせたくなかったんだよ」
あの衝撃の出会いの日から棗は、今やすっかりクラスのボスです。知らないうちにいつのまにか…
「ルカ、お前あれから大丈夫だったか？」
「え、ああ、誘拐犯のこと…大丈夫だよ」
「それも……あと学園のスカウトとか」
「そういえば、この間から続けて学園の教師とかいう…変な人がきてたみたい」
「ウチも早速、アリス学園の人達にみつかっちゃったんだよね──」
「お前にきいてねえよブリッコ」
もうゆーうつ…と溜め息をつく葵。
「えっと…ケンカしないで？」
「ケンカじゃないよ、スキンシップだよ」
校庭から少し離れた場所で話す３人。
一人っ子の流架は心配して止めるもこれはいつもの事、これが日向兄妹のコミュニケーションなのである。
「…とにかく、何かあったら言えよ」
「え、何かって何？スカウトなんていつもの事だし…
…棗のとこ、何かあったの？」
“学園の教師”、その言葉で仮面で素の自分を隠したような男の姿が鮮明に浮かんだ。
「日向棗君を迎えに来ました。このまま無意味な抵抗を続けなさるのは、時間のムダというもの……」
あの男……何者だ………？
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作者名：未来 | 作成日時：2023年3月24日 23時
