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家路についていた棗は、夕日が沈む頃に家に着いた。
「お兄ちゃん！」
帰ってきた２人を出迎えたのは、棗の妹の葵だった。
｢おかえんなさい！も──、どこ行ってたの──
今日は葵と一緒に帰ろって約束したのに──。葵１人で帰ってきたんだよ──
「してねえよ、んな約束」
ネジを咥えて家の修理をしている父が居間に入ってきた棗に気づき、声をかける。
「おかえりー棗。壁な、大分直ったぞ！
ん？何かいいことでもあったのか？ちょっとあかるい顔してる｣
「別に」
「あー、友達できたの！？ずるーいお兄ちゃんだけー」
「友達じゃねぇよ。
…そんなもん、つくったって仕方ねーだろ……」
背負っていた鞄をテーブルの上に置いて呟いた棗の表情は、少し儚く見えた。
──あしたも、あさっても、しあさっても
今日みたいに、棗といろんなこと話せるといいな。
流架は窓を開けて、夜空を眺めていた。
「(何でだろう、心が軽い…いつもの星空も１人だった時より、全然ちがってキレイにみえる)」
ずっとつづくといいな……
「こんなド田舎にまた…
こりずに逃げ回るモンですねえ、日向親子も…」
「はあ〜…向いてないんですよね──僕…こういうの」
「アリス候補生スカウト担当業務ですか？
仕方ないですよ、こういうのは教師にも持ち回りで説得係がまわってくるもんですから」
「家族には泣かれるし罵倒されるし、やな目で見られるし。槙原先生１人で行ってくれません？どうせ説得なんて応じませんよ、あそこ…」
「乃木流架は
鳴海先生はちゃんとしっかり乃木家に行って、ご自分の
職務をまっとうもらわないと困りますよ」
「ハイハイ」
「ただでさえ今回は日向棗に興味を持った校長が、何でだか危険能力系にまで視察をと言って
「ハイハイ…zzz」
「きーてんですかアンタ、寝るなっ！」
同日、夜分。コソっと話す槙原とやる気の出ない鳴海、そしてペルソナがこの町に訪れていた。
「危険能力系ねえ…」
「日向君の能力のキャパからいえば、管轄外とは言い切れないまでも……潜在系を押しのけてまで、どうこうとまではいかないと思うんですけど。
まったく……頭の痛い仕事になりそうですよ…」
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作者名：未来 | 作成日時：2023年3月24日 23時
