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「(学校でも家でも、あまり気が休まらない……アリスってだけでも、みんなと違うのに…)」
そんな息苦しい毎日。
誰の目からも離れて、１人になりたい…
思わず溜め息が漏れた。
「(でも我慢しなきゃ。僕のためのママやみんなの頑張りを、こんな風に受け止めちゃダメだ…っ)」
でも、本当は
どこかいつだって、独り…
「はいはい、みなさーん。今日はこのクラスに転入生のお友達が来ました〜。さあ、入って〜」
そんな息苦しい毎日の中で出会った。教室に入ってきた棗を見て、目を奪われた。
─── 一瞬…
そこだけ空気が変わった───…
「はーい、日向棗君は先週から、丘ノ上町に引っ越してこられたそうです。日向君はお家の都合で、今まで何度も引っ越してるそうですよー。１学年下には日向君の妹さんも一緒に転校してきて…｣
まるで、みんなとは全く違う世界の空気をまとっているかのような
「(ひゅうが……なつめ)」
──赤い瞳…
何か、近寄りがたい雰囲気…
「(だれかと似てる目…色とかじゃなくて。
だれだっけ………)」
その瞳の奥に何かを感じたけど、その時はまだそれが何なのかわからなかった…
「ひーうーがくんっ」
担任からの紹介は終わり。チャイムが鳴って休み時間になった途端、棗の元に２人の女の子がやって来た。
「ねえねえ、いいこと教えてあげる──」
「…いらねぇ」
「遠慮しなくていいんだよーあのねー、このクラスってすごいんだよ───」
「だからいらねえって」
「(女子ってすごい…)」
「あの子！」
「え、」
１人の女子から、ビシッと指を差された。
「ルーちゃんっていうんだけど、彼“アリス”っていう、めずらしい力もってる子なんだよー。ウチの町のホコリなのー、みんなのじまんなのー」
「(！！)」
な…女子いっ！何このいきなりの展開…っ
話すかフツー、すぐっっ！
女子の口から出た予想外の言葉に、開いた口が塞がらなかった。
「あ…」
え…何……
目を見開いて驚く棗の視線に耐えきれなくなって教室を飛び出した。夢中で走った。
「(アリスなんか、ぜったいみせるもんか…っ！)」
冗談じゃないっっ！！
みんなでニヤニヤするくせにー
「(むむ…それにいきなり、こわい目でにらんできて……
アリスてきいた瞬間…)」
あいつ…
何で…
「！」
その時突然、誰かに後ろから口元を布で覆われた。
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作者名：未来 | 作成日時：2023年3月24日 23時
