522・中等部編 棗の過去 ページ32
棗、あの地平線の向こうのどこかに
大人達にも何にもしばられない
僕らだけの秘密の王国があるとしたら
2人でならたどりつけるかな。
僕らはどこまで行けるかな…
きっといつか…
「ルーちゃん、ルーちゃん起きナサイ。今日から新学期でショ。いつまでネテルノ?サッサと仕たくシナサト、遅刻ヨ、遅刻!」
棗と出会ったのは今から2年前の春。俺が8歳になって間もない桜の季節。
「学校やだな…行きたくない…」
「パ…パパア〜〜〜!!ルーちゃんがッ、ルーちゃんがトウコウキョヒをを〜〜〜〜っっ!!私ノ育て方がワルかったから!私が浮カレタパリジェンヌで、旧家の嫁にフサワシクナイカラァァァ!イヤァァ!」
「い…いくいく行きたい!!今のウソウソ!
ママ、もう仕たくできたからっっ!いくからっっ」
「あ、ソウ?じゃ行くワヨ」
ママの演疑(?)に騙された流架であった。
そう、これが棗との出会いの朝………───
「あ、きたきたー」
「乃木家のルーちゃんちのお迎え車ー!!」
「おっかけろー」
近所の子供達が再徐行で走る乃木家の車を追いかけたり乗っかったりといつもと変わらぬ風景。見世物状態だ。
「ちっ…ムジャキでカワイイ田舎者共めが…
手垢ツケタ奴、後でブットバス…」
「…。(だから学校行くのいやなんだ……っ)」
…でも仕方ない。幼い頃からアリスであることがバレてしまっている僕は、物心つく頃には周囲から好奇の目で見られる存在になっていて、過去に3度程、誘拐もされかけた。
元々、アリス学園の度重なる強引なスカウトに腹を立てていたママ。
「アリスダカ何ダカ知らナイケド、ルーちゃんは私達の子ヨ!国ダローが人さらいダローが、私達カラ、嫌ガルこの子ヲ連れていこうとスル奴ハ、もう許サナイッ!
ゼッタイにこの子は渡サナイ!ソレデもこの子ヲ奪う気ナラ、私ハ死ぬ覚悟と殺ス覚悟でアンタ達からこの子を守ッテみせるっ!!」
刀剣を出して僕を護るほど。アリス学園にパパとママ、乃木一家は宣戦布告をした。
「大丈夫。どんなことをしても、パパとママがあなたを守るから…」
──と、いうわけで。
今では家の周りに常に見張りが付き、常に誰かが一緒に行動、常に24時間ルカ専用のボディーガードが2人も付いている。と、いうわけなんです…
…もう慣れたけど、ぼくもみんなも。
はあ…、これじゃあ、「異質」の上塗り状態だ…
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作者名:未来 | 作成日時:2023年3月24日 23時