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「ち…生きてたか」
「ほ…蛍」
唖然とするA、蜜柑、翼。
バカン砲を立て続けに浴びて髪の毛がボサボサになった瑠衣に向かって、蛍は口を開く。
「すいませんこのメカ、バカとかアホとか見苦しい物を見つけると、勝手に照準あわせちゃうもので。私の意志関係なく、撃っちゃったのは思わず流れで」
「「(謝ってるけど、謝ってねぇ──────っっ)」
「ほ…蛍ねえさん…っ」
蛍はそう言って謝りながらもさり気なく、バカン砲からドバカン砲にバージョンアップさせていた。
「な…よくもこのメスガキ…」
蛍からの攻撃を受けてキレた瑠衣は瞳孔開き気味に殺気立ち、どす黒いオーラを放つ。
この時の蛍の言葉をAは一生忘れないだろう。
あんなに恐ろしい形相で向かってくる人物を前にして、恐れずにいりれる蛍は強すぎる。
「お…おい、やばいって!
ルイはああみえて女にはホンット容赦しないし、男にはホンット見境ないんだって…早くにげろっ、クールブルースカイ…」
「バカもう一匹発見」
颯が焦ったように蛍へと近づき、早く逃げるよう言葉を発している。その行動を見て、蛍はドバカン砲を颯の頭に突き付けた。
蛍と颯の会話が噛みあってない。
「え?あいつって敵じゃないの?」
「さ…さあ…」
「(っていうか、颯はどっちの立場なの?任務じゃないのこれ?)」
「もう、どーでもいいんじゃないでしょか…」
心配するその様子に疑問に思う翼と璃音、もはや考えることを諦めたAと蜜柑であった。
蛍がそのままドバカン砲を食らわせ、颯を吹っ飛ばした所を適当に流していると、背後にいた流架が天井を見ていた。
「…流架?」
「…璃音、」
「大丈夫?」
「…うん」
流架の表情が固い。こうしている暇などない。早く棗を見つけなければならない。
初校長の陰謀は、本当に虫唾が走る。目的も最低な上、やり方が汚すぎる。
「どっちにしたって私達、この人達倒さなきゃ、棗君を探しには行けないんでしょ」
蛍は無表情で、バカン砲を構えながら瑠衣を見る。瑠衣の表情は怒りに満ちており、今にも此方へ飛び掛かってきそうだ。
「だったらチマチマびびってないで、さっさと片をつけにいきましょう。こんな所で向こうの都合で無駄に時間潰す余裕、私達にはないはずよ」
「(蛍…っ、そうだ、蛍の言う通り、やらなきゃ…っ、棗くんを幽閉するなんて絶対に、絶対にさせないっ!)」
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作者名:未来 | 作成日時:2023年3月24日 23時