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「ふ──。やれやれ、危機一髪?」
「…っ、つ、翼くん!」
目を瞑った。でも、痛みは襲ってこなかった。声がして目を開けた。
ピタリと動きが止まる2人の後方には、ランプを持って冷や汗を流す翼くんと璃音くんがいた。
「やっと見っけたー。
探したよーみんな。よく頑張ったじゃん」
「間に合ってよかったよかった…大丈夫かー?お前ら」
「翼先輩!?璃音!?キャ───!」
「みか──ん!」
突如やって来た翼くんと璃音くんに困惑したけど、頼もしい助っ人達の登場だ。
蜜柑は嬉しそうに翼くんに飛びついて、翼くんはそれを難なく受け止める。
「おールカ、蛍」
「だっこ──」
「…て、この人誰?」
「(…ルイが好みそうなタイプ。
あいつ、中等部以上が守備範囲だし)」
それに続くようにあたし達も2人の元へ歩み寄り、陽一くんも安心して、笑顔で詰め寄った。
歳が自分と大して変わらない陽一くんに困惑する翼くんと璃音。
「陽一くんだよ、ガリバー飴で大きくなっちゃって…」
「えっ、この人よーちゃん?!」
「は、まじ!?」
謎の少年の正体がまさかの陽一くんと知り、今度は驚愕する2人。何はともあれ、あたし達は再会を喜んだ。
璃音くんはあたしの頭を撫でると、そっと血が出ている頬へと触れた。
「A、頬から血が出てる。大丈夫か?」
「うん、大丈夫…翼くんと璃音くんは何で…?」
「やー、いきなり茨木のばらに
「んで、まさかの置いてけぼり。迷子になってさー、何なの俺達」
「…そっか、のばらちゃんが、あたし達を…」
「───Aちゃん。
おねがい、棗君をとめて。棗君を…」
ありがとう、のばらちゃん...
「ちょ…やだ何?!動けない──っっ!呪煙まで…」
「…って暗くてよく見えねーし聞こえねーけど、今来たあいつらって…」
暫くの間、敵は動くことができない。背中に寄りかかる陽一くんをその体勢のまま、翼くんは一通り説明する。
「詳しい事情は知んねーけど、何かやたら必死でさ。その後、人ほっぽってどこ行ったかはしんねーけど。
何だこの事態…
暗くてよく分かんねーけど、あいつら何者?」
「のばらの事、信じてついて来てみて正解。一体、何があったんだよ」
「こんな事ならムリにでも、初めうさんくさく感じた段階で止めてりゃよかった」
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作者名:未来 | 作成日時:2023年3月24日 23時