493 ページ3
「何かもう…ウチ、いいですから。
反省してはるみたいやし…
確かにウチも、人から見たら何で抽選玉あたったんやろって不思議に思われても仕方ないと思うし。
あっ!
でもウチは絶対、誓って不正なんてしてないですよ?!
…それにその人ら、
花園会がホンマに大好きみたいやし………
それがいきすぎて、こんな事しはったんかなあって…」
可哀相に思ったのか、蜜柑は2人を許してあげることにしたらしい。蜜柑は本当に優しくて心が広いと思った。
「ご…ごめんなさいぃ、みかんの君…っ」
「許してぇぇ、みかんの君…っ」
「お優しいのね、みかんの君」
「仕方ないわね、蜜柑の君がそう言うなら…」
「許してあげてくれてありがとう、みかんの君…」
「ぎゃ〜〜〜っっ、つぶれる〜〜〜…」
蜜柑の優しい言葉に、2人は泣きながら蜜柑に抱きつきお礼を言っている。
それに乗っかるようにして、蛍や陽一くんも蜜柑に覆い被さった。
そして、どさくさに紛れて花名が“蜜柑の君”と決定した蜜柑であった。
「……それにしても、確かに今年の抽選玉の行き先には例年と違って、何かおかしなものを感じるのは確かね。不正とかではなくて…
姫さまはその辺、何やら濁しておいでだったけど、」
事態が一件落着しようとしていた時に、考える素振りをした静音先輩。
先輩は蜜柑に感情を感じさせない目で聞いてきた。
「あなた一体何者なの?」
「え…ウチ?え…」
突然の質問と鋭くなる視線に蜜柑は狼狽える。静音先輩の言葉にあたし達も耳を傾ける。
「どういう理由からかは、まだ聞かされていないけど。いきなり日向君のパートナーになった件といい、今回の件といい…
あなたの存在は、たまに私達一般生徒とは微妙にずれたものを感じるのは確かなの」
さらに続けて、今も黙ったままの蜜柑を観察するように見つめる。
「あなたと初めて開会式でお会いした時、櫻野君達はあなたに何かしら感じているフシがあったようだし…」
秀一くんは直感のアリスを持っている。そういった事に敏感なところがあるって。
だから、あたしと初めて会った時に声をかけたって。昔昴くんから聞いたことが頭を過ぎった。
「…まあ何もご存知ないのならいいんだけど。
変な質問してごめんなさい」
「………」
シーンと辺りが静まり返る。蜜柑は言われた言葉を間に受けているみたいで、今も黙り込んだまま。
ふと、胸がざわっとした。
43人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:未来 | 作成日時:2023年3月24日 23時