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「あぶねぇぇ!あいつ、こっちが攻撃うつる前に片づけようとしてねーか!?」
隙を与えずに攻撃を続ける陽一に、颯は狼狽える。再び落とされる攻撃に瑠衣が叫ぶ。
「わ!!」
「颯っ!!
スピード攻撃はてめーの担当だろ!何とかしろっ!」
「(陽一くんっ)」
慌てているのか、瑠衣の素が見え隠れした。
一方、やはり体力気力が低い陽一は、力が尽きている。すぐに疲労が現れて、辛そうな顔色になる。
「ち、この…っ!」
そこへ舌打ちをした颯が、即座にアリスで陽一に攻撃を仕掛ける。
「(敵の攻撃が陽一くんに当たってしまう…っ、
嫌だっ、陽一くんが傷つく所なんて見たくない!!
陽一くん!危ないっ!!」
直撃するかと思ったその時、Aが陽一を突き飛ばして攻撃をかわした。
「…っ!」
「よーちゃん!!Aっ!」
「う…」
バランスを崩して倒れこむ2人。痛みを感じて顔を歪ませたAは、左頬を触れると切り傷があった。
完全には避けきれなかった真空の刃は、Aの頬の他に着物から覗き見える左の足首も掠ったのだ。
「…お姉ちゃ、っ」
「大丈夫…っ、ちょっと掠っただけ…だよ、
(よかった…、なんとか、風から陽一くんを助けることができた…)」
「(赤髪の女の子…)
へー、あの子が校長の言ってた…女の子ねえ…」
陽一を颯のアリスから守ったAを見て、瑠衣は呟いた。
「(陽一くん…相当疲れてる…っ
あたしが、あたしが彼を守らなきゃ、あたしのアリスで皆を守らなきゃ…!)」
「まだだっ!」
さらに攻撃をしようとする颯に、Aが即座に音の振動で反撃した。
「……っ、は…ぁっ、
(でも、いつもより、力がちゃんときかない…っ)」
音のアリスを使ったはずなのに、颯のアリスを完全には止めれなかった。結界の負荷が重く、Aは肩で大きく息をする。
「こいつ…っ」
それを見逃すはずもない颯がAを目掛けて、かまいたちを放つ。
「あぶな…」
走り寄った蜜柑がA達の前に飛び出して、かまいたちを避ける。蜜柑の茶髪は僅かに切れて宙を舞った。
「蜜柑っ!」
「A、そのケガ…っ!」
「大丈夫だよ、」
3人の元へ流架と蛍が駆け寄る。Aは掠り傷を負ったものの大事には至らず、僅かに安堵した。
無効化のアリスを使ったはずなのに打ち消せなかった。蜜柑もAと同様、その事に違和感を感じた。
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作者名:未来 | 作成日時:2023年3月24日 23時