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「陽一くん!ダメ、逃げようっ、一緒に逃げよう!」
あたしは必至に陽一くんの腕を掴んで、この場から逃げようと声を荒らげる。
「早く、陽一くんっ」
でも、陽一くんはその場から動くことはなくて、彼らに対抗するかのようにアリスを強めた。
“──陽一
俺が行った後、何かあったら
あいつらの事、Aを頼むな”
「A姉ちゃは、僕が守るっ、」
“頼むな──...”
「…棗にーたんとの、約束だからっ、」
陽一くんから出た物凄い殺気に目を見開く。呆然と立ち尽くすあたしの体は、流架に引っ張られた。
「A離れて。あぶない」
「でも…っ…」
「…今はよーちゃんの邪魔になるだけだ」
離れると同時に、陽一くんの体からたくさんの霊が溢れ出した。
悪霊使いのアリスだという事は誰でも知っているけど、実際に力を使うところを目にするのは初めてだ。
──“危険能力系は
学園が目をつけたガキを裏工作員に育てる…
学園の闇───…
玲生が言っていた。危険能力系は元々、その力を学園に目を付けられた存在を集めた、学園の闇のようなもの。
「…お姉ちゃ、みたらだめ…」
つまり、3歳でありながらそこに所属している陽一くんもそうだということ。
同じ危険能力系。
だから棗も、
よーちゃんの事は気にかけてるっていうか……
これが陽一くんや棗くん、危険能力系の皆が抱えている闇、学園の闇なんだ。
「……迎え討つ気マンマンってわけね。
やってくれるじゃない、3歳児が」
陽一から思いもしなかった程の猛烈なアリスの気が溢れ出して瑠衣は顔を歪め、颯は彼に問いかける。
「おい、ルイ。陽一が向けてくる悪霊、反撃する手あるのか?何か」
「ない。とりあえず逃げるのみ」
「ええ!?」
颯の問いにあっさりと答える瑠衣。
「所詮、3歳児の体力と気力なんて、たかがしれてる。しかも、この結界内の負荷で。せいぜい疲れさせて、後ろの雑魚も一気にしとめればいいのよ」
「なあ…黒髪には手出しすんなよ…」
「ああっ?!寝言は死んでから言え」
陽一は話している瑠衣と颯へ攻撃を落とす。2人の間を襲いかかる悪霊。
「「!」」
目を見開く瑠衣と颯。体力気力は少ないが、陽一はこの中の誰よりもこの空間の影響を受けにくいのだ。
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作者名:未来 | 作成日時:2023年3月24日 23時