507 ページ17
蛍ことしか考えられなくなってしまい、1人でブツブツ呟いている颯が行動を起こした。
「なぁ…なぁって!」
颯が蛍の肩をガシッと掴んだ。蛍はかすかに殺気を放ちながら、振り返って睨んだ。
「……はあ?」
(訳:手ぇはなせや、バカ菌伝染す気かコラ…)
「関西弁…っ」
「凄くお怒りに…っ」
さっきの戦いに敗れたせいで、とっても凄まじく不機嫌な蛍。だが、それにもめげないのが颯である。
ぞくん…蛍の冷たい態度はバカな颯のハートをさらにブチ抜いた。
「え…」
「か…肩、細いなお前…」
「(なにこの人──っっ、もうかえってー!!)」
冷たい蛍にもキュンときてしまい、颯は頬を赤らめる。その姿にA達はもうドン引きである。
「(…この人、絶対Mだ……)」
どんなに冷たい言葉を投げかけられても蛍に縋りつく颯を見て、Aが一つの結論に行き着いた時だった。
「は・や・てくん☆何やってんのかな〜〜〜
様子見に来てあげれば…この、のろまの役立たずが」
新たな声がその場に響いた。女のように甘い声だ。
「な〜に、いっちょ前に女の子の
「カ…ルイっ」
そこには笑顔の瑠衣がいた。なかなか戻ってこない颯の様子を見に来たのだ。
「今、「カマ」って言いかけた?」
「ち…ちが…」
「「(ま…また来た変な人──っっ)」」
瑠衣に絞められている颯。その光景に、A達は冷や汗を流すしかなかった。瑠衣はオカマと言われることが何より嫌いなのだ。
「さ・て・と☆
カッコイイ男子は何処にいるのかな〜〜☆」
颯から手を離した瑠衣はA達に目を移す。歩み寄り、1人1人の顔を確認していく。
「?」
自分の男前レーダーに反応した男は、一体どこにいるのだろう。
A達は全員小学生。流架はどちらかと言うと男子ではなく、男の子だ。
「かっこいい男子…?」
「ひっ…(迫力が凄すぎる…っ!)」
「ルイ…」
お目当ての男子を見つけられなかった瑠衣は鬼の形相で4人に詰め寄る。Aはかなり驚いて後ろに下がった。
「(こ、この人も危険能力系…?)」
「お姉ちゃ、」
そんなA達を庇う様に前に出たのが陽一だった。
「あれ──?☆
やだ何この子っ!!かわい──んだけど──っっ☆」
陽一の登場に瑠衣は目を輝かせて喜んだ。
43人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:未来 | 作成日時:2023年3月24日 23時