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──
誰だ……?あいつら以外に他に侵入者がいるのか…?
ちくしょう、思うように火が出ねえ…
…ルイを、あっちに行かせるんじゃなかった。
「…
それで俺を倒せると思ってるのか。
なめられたもんだな、」
「……、」
ちくしょう…
…何でもいい。
頼むから、
他に侵入者がいるなら、どこのどいつか知らねえが、何でもいい。
首をつっこむつもりがあるなら、なんとかしてみせろ。
“棗くんっ、えへへっ、”
俺の代わりに、とにかくあいつらをAを、全身全霊で守ってみせろ。
「お兄ちゃん!葵ねー、お兄ちゃんが大好きー!」
「…きしょい、寄るな」
「あははー!恥ずかしがってるー!」
「…うっぜ、」
「もーう!お兄ちゃんてば。そんなんじゃ彼女出来ないよー?」
「…余計な世話焼いてんじゃねえよ」
「いたっ!もーう!好きな人できたら教えてよお!約束だからね!」
お前の笑顔を初めて見た時、葵の笑顔と重ねた。
あの笑顔が俺の生きる源だった。
絶対に、絶対に今度こそ、俺が守るから…
「なあ、なあって…」
あれから数分。
蛍を見つめて固まった颯に痺れを切らしたA達は、彼をおいて奥へと歩き出したが。
「…どこ行くんだよ。
勝手に…ウロウロすんなって…………」
迷子になりながらもひたすら歩き続けて、その後を追う颯はひたすら蛍に話し掛ける。先程からその繰り返しである。
「なあ…お前…名前…………何ていうんだよ…、…好きな食べ物は?おれ、お好み焼き…、………休みの日、何してる?」
鯉?故意?来い?濃い?乞い?請い…彼の問いに誰かが答える事はなく、ひたすらに前へと歩みを進めている。
「な…何なんだろうこの人…っ、
A、ルカぴょん…この人敵じゃなかったっけ…?」
「敵だったハズ…と思う、」
「そうだよ…敵、なんだよね………」
何をするでもなく、訳の分からない質問を蛍に吹っかけながら追いかけてくる颯。
とりあえず蛍の事が好きなのは間違いないのだが、手の打ちようがなく、無視するしか手立てがない。
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作者名:未来 | 作成日時:2023年3月24日 23時