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「でも…地下ってどうやって行けば、」
“お気に入りを、誰にも見られないよう
日の当たらない奥に閉じ込めて…”
“…一生そこから出られない…”
その時、陽一くんの身体がカタカタと震えていることに気づいた。
「…陽一くん?」
「あ、」
「い?」
先頭を走っていた陽一くんが急に立ち止まるから、その衝撃で蛍達は危うく転びかけたけど、ブレーキをかけて何とか体勢を立て直す。
「えっ、ここ?
ここが地下に行く扉ってこと!?棗がここに?!」
扉を開けると地下に繋がる階段があった。
“…閉じ込めて…永遠に1人…一生出られない……”
陽一くんは不安からなのか、震えながらその扉を見つめている。確かに、ここから何か嫌な感じが伝わってくる。
あたしは震えている陽一くんの手を握りながら呟いた。
「大丈夫だよ、陽一くん。
皆がいるから…一緒に棗くん…を見つけ出そうっ」
大きくなっても陽一くんは3歳児なのだ。怖くなはずがない。でも、陽一くんも棗くんを助けたいんだよね。
頷いた陽一くんは表情を変えて、扉の中に入る。あたし達を探す先輩達の声が聞こえて、あたし達も続くようにそそくさと入った。
扉を閉めれば、そこは暗黒の闇。地下から聞こえてくる風の音が、一層この場所を不気味に見立てている。
「……っ、(こ、怖いよぉ、暗い…っっ)」
「ま…まっくらくらくら、ひ〜〜〜っっ!!
くらいってこわい〜〜〜っっ!!階段急〜〜っっ!
ブキミ──っっ、足元すら見えへんよ〜〜〜っっ!!
よーちゃん人魂つれてこんでよー…」
「静かにして、バカ」
「棗こんな所1人で降りていったん!?あいつー…」
「棗は火が出せるから…」
暗闇の廊下に蜜柑の叫び声が響く。扉から入ったは良いけど、灯りが全くない。どうしよう、暗いし怖い。
真っ暗な状況で長い階段を下っている。陽一くんが出す人魂が、辛うじて足元を照らしてくれていた。
「蛍〜〜、何か明かりになる機械はないのー?」
「ないわよ……あ、そういえば」
「あるの!?」
蜜柑の煩さに少々ご立腹だった蛍は、何かを思い出したようにごそごそとあるものを取り出した。
「そうだった…“たまごヘルメット”は光る目玉機能が」
「ひいいい!!!」
「ひっ…!」
ヘルメットを取り出した蛍は顔に被り、目から怪しげな光を放った。めちゃくちゃ怪しい。
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作者名:未来 | 作成日時:2023年3月24日 23時