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「…紅華の君」
先輩達の提案で蜜柑達を探しに行こうとした時、中等部校長の声がした。
「…そなたの一番大切な者は何だ?大切にしている事は何だ?」
そう聞かれて、皆の顔が思い浮かんだ。
「あたしの大切な者は、家族と友達と先生と…
守りたい人があたしの大切な者です!」
「ほう…」
お母さんとお父さんの、あの言葉が頭を過ぎった。
「大切にしている事は、例え何があってもどんな時でもあたしは、あたしは諦めません!!奇跡は必ず起きると信じていますから!」
「…その言葉、忘れるでないぞ」
優しく微笑んだ中等部校長を見て、あたし達はその場を後にした。
“姫様、ありがとう。沢山沢山、ありがとう。
また、いつか…姫様に会いに戻ってくるから。
それまで、私の事忘れないでね?”
「…お主に似て、強い娘になったな…のう…"姫椿の君"」
雁の廊下へと出て歩き続けると、ドンッ…ドンドン…と廊下の先から大きな物音が響いてくる。
「佐倉──、よーちゃん」
「あっちの方から音が…」
大きな音を頼りに、音が出ている扉へと近づく。すると突然、目の前の扉が蹴破られた。
「「「!!」」」
中から蜜柑と共に、ボロボロの着物を身に纏った謎の美少年が出てきた。あれ、誰?
「…え、っと、」
「だ…だれ!?その人…」
「よ…よーちゃん……………!?」
「おねえちゃ、Aねえちゃ、」
「よ、陽一くん!?」
大きな男の子に抱きしめられた。ビックリして出た声は裏返った。着物は千切れてしまって、胸元が丸見えだ。
着物の柄が陽一くんのだから、この男の子は陽一くんで間違いないだろうけど。
いつもの調子で抱きついた拍子で着物が床に落ちた。
「ギャ─────!!この人裸よ───っっ!!」
「ちかん───?!?!」
「だれかー!!」
花園会に男の人が立ち入るだけでも、普段はあり得ない事で。その上、裸でいるなんて必然的に騒ぎになる…。
とりあえず、中等部校長の耳に入る前に蜜柑と陽一くんを連れ出して、元居た部屋に戻る。
そして、成長した陽一くんの着丈に合う着物を着せた。
「これが…よーちゃん!?!?」
「えっ、あの小さい男の子?!」
「うそー!!」
「おおっ!まちがいなくよーちゃんっっ」
確認のために陽一くんがアリスを使うと、周りに悪霊が現れた。間違いなく陽一くんだ。
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作者名:未来 | 作成日時:2023年3月24日 23時