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にこやかに薬湯を差し出された蜜柑は断れず、冷や汗を流しながら、何だか物凄く強烈な匂いの物を飲んだ。
「うおえぇ…」
「すごいにおい…」
「飲んだ後はちょっと気分悪くなるかもだけど、体にはとってもいいのよ」
「(絶対ウソ…あんなの飲んだら確実に寿命が縮む…)」
「はい、におい消し…」
薬湯を飲んだ蜜柑から、とてつもない異臭が漂った。蛍からコーヒーのでがらし袋を手渡された。余りの臭いに陽一くんはマスクを着けた。
「みなさまみなさま、百人一首なさいませんこと?」
「最下位の方は罰ゲームとして、恥ずかしい踊りを披露してもらうのはどうかしら」
分かりやすいほど、蜜柑にだけ風当たりが強かった。
皆とした百人一首では、臭いがキツイからと離れた場所に移動させられて、最下位になるのは当たり前だった。
蜜柑は罰ゲームとして恥ずかしい踊りを、羽子板では顔に落書きを。
何だろう。此処の人達、蜜柑に対して酷い。
「姫さま、花姫達の振る舞いは少しいきすぎかと…
私の方から注意を」
「…よい。見定めるのに丁度よい」
「は?」
「あの娘、もう少し様子を見たい…それに紅華の君も…」
何かを思わせる目をして、一人疎外されている蜜柑と彼女に駆け寄るAを見つめる姫宮であった。
「蜜柑、気分大丈夫?
はいコレ。顔のスミ落としたら?」
「蛍、言ってる事とその姿のギャップ合ってないよ…」
隅の方で下を向いている蜜柑に蛍がおしぼりを渡した。思いっきり消臭マスクをつけて言われても…ね、あまり嬉しくないと思う。
「若紫さーん、紅華さーん。すごろくやりましょ」
蛍とあたしを無理やり連れだしたのは、撫子と呼ばれている人。
「すごろくなら、佐倉も呼んでから…」
「あらいいわよ、あんな臭う子」
「え、」
「あらごめんなさい、そういうつもりじゃなくて。
疲れてるみたいだし、彼女を休ませてあげた方がいいと思って」
「……」
くすくすと笑うこの人。さっきから蜜柑の事、悪く言い過ぎだよ。それに、事を起こしたのだってこの人だ。
「紅蓮の君、」
「あ…」
「どこへ行かれるのかしら…」
「あら?紅華の君、どうかしたの?」
さすがにあたしでも、むっとしてしまう。
何だろう、許せないっ。
「…えへへっ、撫子お姉さま」
「ま、まあ!紅華の君に撫子お姉様だなんてっ、」
「慕われて羨ましいですわ、撫子さん…」
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未来(プロフ) - てあさん» 嬉しいお言葉、ご愛読いただきありがとうございます。 (2023年3月24日 22時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
てあ(プロフ) - すごく面白くて大好きです。 (2023年3月24日 3時) (レス) @page50 id: 0608e9eaca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未来 | 作成日時:2023年1月11日 19時