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さよならとこれからの味:夢世界側END ページ42

「……」

『もうやり残したことは無いか』

「……無いよ」

フードの端をつかみ、猫背をさらに曲げて俯くイライは随分と精神をやられているのだろう。浅く呼吸を繰り返しガタガタと震えている。

「私もここにいていいかな」

死を前にして怖気付いたか?
いや、こいつはそんなやつじゃない。まあだいたい帰る資格がないとかそんなんだろ。こんなに弱ってしまって。ただ皆のために身をけずったのか。

「…私には帰る資格がない」

ほらやっぱり。

「それに君は嘘でも私の義理兄弟なんだ。置いていきたくない」

…そんなことを言うとは思いもしなかった。
俺の事なんて気にしなくて良いのに。

『……大丈夫。俺もすぐそっちに行くよ。だから安心してくれ』

「でも、」

彼が異論を唱える前に手で口を塞ぐ。知っているのだろう。俺がそっちに行くことが出来ないことなんて。

『まったは無しだ。さて覚悟はいいか?』

銃口を額にあてがい、トリガーに指を添える。

『目覚めよ。覚醒世界の子』

銃声が静けさを保つ廊下に響き渡る。これで皆帰れる。もうここに囚われることは無い。

『……さようなら』

黒い液体がイライの顔に落ちる。まるでそれは涙のようで。そんなもの俺の体には存在しないのに。

アイマスクを外す。初めて彼の瞳を見た。もう美しさはそこには無い。

ただ死を表す瞳があっただけ。

ぐぷぐぷとイライの体が黒に沈む。そのうち頭も完全に沈み、手元には何も残らなくなった。

これでいい。いいんだ。寂しくなんてない。

「あら、生贄様?こんな所でどうされたのですか」

『…そういやまだ君がいたんだった』

「ふふ、忘れてらっしゃったのですか?酷いお方。しばらくは2人で頑張ることになるのに」

くすくすと笑う彼女が手紙を取り出し渡してくる。

手渡された紙を見ると、サバイバーをほぼ食い殺した罰として俺もサバイバーとなるらしい。力にも制限がかかるんだとか。

そのうちサバイバーはまた追加されるとの事だ。今度はさすがに夢世界の人間だろう。

『まあそうだな。まだ諦めるには早いか』

大きく伸びをして祭司、もといフィオナを見る。

まだまだ俺は生きていなくてはいけないらしい。






覚醒世界側END

起床時刻(セリフオンリー)→←最終ラウンド突入


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ゼロ(プロフ) - なんかクトゥルフ?とかわからないけど読んでみたら面白かったです! (2020年6月21日 23時) (レス) id: c3efaf6a5b (このIDを非表示/違反報告)
外国製烏(プロフ) - 月さん» ありがとうございます!光栄です! (2019年6月1日 13時) (レス) id: 19489dbd8a (このIDを非表示/違反報告)
- 面白いですね! (2019年5月31日 19時) (レス) id: 235ab58054 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:外国製烏 | 作成日時:2019年5月24日 18時

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