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豊穣の女神 ページ22

占い師視点

ドアをノックする音が部屋に響く。

読んでいた本に栞を挟み扉を開けると、そこにはフィオナが立っていた。

「お時間頂戴してもよろしいですか?天眼殿」

「……また神話の話か。私が嫌いなの知っているだろう」

彼女が私の部屋に訪れる時、それは神話生物について語ろうする時だった。

私はその類は苦手だ。昔からそういうものは嫌という程近くに感じることができる。

それに、狂気というものは想像以上に恐ろしい。


「まあそう言わずに。神話に対しての知識を持っているのはこの荘園内ではあなたくらいなんですよ」

「嬉しくないな」

「こんな美女と話せるのに?」


……自分で言うのかそれ。

まあ確かに彼女は容姿が整っている。

だが私からすればヨグ・ソトース信者の彼女はあまり魅力的とは思えない。


「はあ……少しだけだからな」


頼まれると断れないのは、私の悪い癖だろう。





パラパラと赤と緑の不気味なグラデーションカバーの本を捲る彼女は目を輝かせて、ある1ページで手を止める。

「天眼殿はシュブ=ニグラス様を覚えておられますか?」

「ああ、以前君が語っていたな。ヨグ・ソトースとハスターの妻だとか。」

「そうですね。生贄を捧げることにより恵みを与えてくださる慈悲深い女神様です。」


いつも新しい神話生物について紹介してくる彼女にしては珍しく、前の神話生物を掘り返してきていた。

伝え忘れでもあったのか。

首を傾げると、彼女は楽しそうに続きを話す。


「これはハスター様からお聞きしたのですが……どうやら新ハンター殿はそのシュブ=ニグラスの生贄だそうなんです」

「は?」


耳を疑うような事実に素っ頓狂な声が出る。

なおも楽しそうに彼女は話し続ける。

「どうやら、魂を何らかの力の妨害により取り込めなかった様で、もしかしたらシュブ=ニグラス様が彼の魂を追いかけてここにやってくるかもしれないんです!」

「随分とシュブ=ニグラスは彼の魂に執着しているんだな」

楽しそうに話しているが、重大事項じゃないか。

明かされる事実に冷や汗が出る。

確かにAは昔から変なものを引き寄せやすかった。

だがここまで酷くはなかったはずだろう。

「シュブ=ニグラス様は捧げられた生贄はしっかりと受け取ってくださるの。それが人間に与える豊穣の対価ですから」

「だからあのお方はきっとここまで追いかけてくるはずです」


そんなことがあってはならない。


彼に伝えなければ。

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ゼロ(プロフ) - なんかクトゥルフ?とかわからないけど読んでみたら面白かったです! (2020年6月21日 23時) (レス) id: c3efaf6a5b (このIDを非表示/違反報告)
外国製烏(プロフ) - 月さん» ありがとうございます!光栄です! (2019年6月1日 13時) (レス) id: 19489dbd8a (このIDを非表示/違反報告)
- 面白いですね! (2019年5月31日 19時) (レス) id: 235ab58054 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:外国製烏 | 作成日時:2019年5月24日 18時

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