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その日から、Aは俺達と同じように陀艮の領域で過ごすようになった。これで四六時中一緒だ！やったね！
そうして俺はAのことが大好きだから、事あるごとに話しかけていたんだけど───
「Aの髪って綺麗だね！黒い目とよく合ってるよ。可愛い！」
『…………』
「A！今日は何読んでんの？あ、この小説知ってる。ラストでみんな海に溺れて死ぬんだよ！」
『…………』
「A！一緒に海水浴しない？水着が必要なら適当に見繕うからさあ！」
『…………』
俺はAに見事ガン無視されていた。
多分俺自体が嫌いなんだと思う。だって花御や漏瑚とは話してたし。
手を握っても、Aの膝を枕にして寝ても、彼女の耳や項を舐めても反応しなかった。
あ、でも流石にキスしようとしたら蹴られたよ、流石に。
〈真人、彼女と接触しようとするのはやめてあげてください〉
Aを眺めていると、傍にいた花御が俺に向かってそう言った。
漏瑚曰く花御の話し方は気色悪いらしい。俺はこれも個性だと思うけどな。それになんか面白いし。
「えぇー、花御は俺の味方してくれないの？」
〈いえ、敵味方とかいう訳ではありませんが…〉
「じゃあ花御も俺とAの恋路、応援してくれる？」
花御も花御なりにAのことは気に入っていたらしいけど、俺の愛に比べちゃ大したことないね！
花御は途方に暮れたような顔をすると、そこからはもう何も言わなくなった。
これが恋敵が減ったって事なのかな？うん、多分それであってるんだろうな。
◇◆◇
「アレっ。Aどっか行くの？」
『…………』
パラソルの下から立ち上がったAは、やっぱり俺に目もくれず、外の世界と繋がってるドアの方へと向かう。外へ出るらしい。
俺は早速Aの後ろにピッタリとついて歩いていく。そしたらウザそうにこちらを睨まれた。
うーん、ツンデレだなあ。でも俺だってそう簡単には折れないぞ！
「外行くの？俺もついて行っていい？」
『…………』
「無言は肯定と受け取るよ」
『…食事をしてくるだけだ。お前は来るな』
「あっ！やっと喋ってくれた！」
『…………』
Aはドアを開けると、それじゃあ、と告げて出て行ってしまう。
そう言えば俺がついてこないとでも思ってるんだろうか。可愛いなあ。
「ねえ置いてかないでよー」
『………』
「あ、また相手にしてくんないの？寂しいなあ、俺傷ついちゃう」
『…っ帰れ！！』
続く (更新停止中)
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作成日時：2022年3月4日 0時
