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夢を求めて ページ9

私たちはお昼ごはんを食べた後、近くにあったベンチに座って休憩をした。

すると、太陽が沈んできて日が暮れそうになってきていた。

「そろそろ、観覧車乗る?」

「うん、そうしよ」

私たちは、共に観覧車に向かって歩きだした。

観覧車乗り場には他のカップルが数ペアいて、家族連れはもう居なかった。

数分だけ並ぶと、もう私たちの順番だった。

「お二人ですか?」

「はい」

「こちらへどうぞ。足元にお気をつけください。」

私たちは観覧車に乗り込んだ。

わりと広い観覧車に二人きりだったから、少し寂しい感じがした。

私は笑顔で和臣のほうを見ていた。

でも、和臣は窓の向こうを見たまま動かない。

しかも、その横顔からは悲しみが滲み出ているようにも見える。

私は声をかけてみた。

「和臣、何かあったの?」

すると、和臣はハッとしたように私のほうを向いた。

「あっ、えっと、ううん、何もないよ。今日は、すごく楽しかったね」

和臣の表情が少し和らいだ。

「うん、楽しかったね!」

私がそう言うと、和臣が大きなため息を一つすると、私の方に向き直った。

「あのさ、彩に言わなきゃいけないことがあるんだ」

何か、嫌な予感がする。

和臣は何と言うのだろう?

でも、次にでた和臣の言葉は人生で一番とも言えるくらい、衝撃的なものだった。

「ブラジルに行くことになったんだ」

え?なんで?どういうこと?

和臣は下を向きながら言った。

「俺、結構強いところでサッカーやってるんだけど、選抜メンバーに選ばれたんだ。その選抜メンバーは中2から一年間海外留学をしなきゃいけないんだ。だから、」

「それって、絶対に行かなきゃいけないの!?」

和臣が拳を握りしめながら言った。

「俺だって、彩と離れるんだったら行きたくなんかなかった!だけど、夢を叶えるためにも、決めたことなんだっ!もう、今更後戻りはできない...」

私の気持ちは、怒りとか悲しみとか、そんなレベルではなかった。

なんというか、何も考えることが出来ないっていうかんじで、言葉を発することができなかった。

共に黙り込んだまま、私たちを乗せた観覧車は一周回ってしまった。

とりあえず、一度降りて近くのベンチに座った。

私はこの場をなんとか切り抜けるために、強く言ってしまったことを謝ることにした。

「あの、さっきは、強く言っちゃってごめん」

すると、和臣も口を開いた。

「俺も、ついカッとなっちゃってごめん」

一つ、二つと星が出てきていた。

〜作者より〜1→←お昼ごはん



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設定タグ:探偵チームKZ事件ノート , アーヤ×若武 , 若武和臣   
作品ジャンル:恋愛
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リンゴバナナ(プロフ) - 穂乃花さん» 読んでいただき、ありがとうございます!これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします! (2020年3月22日 2時) (レス) id: 475568ed92 (このIDを非表示/違反報告)
穂乃花 - 完結おめでとうございます! (2020年3月16日 10時) (レス) id: 3a39613abc (このIDを非表示/違反報告)
リンゴバナナ(プロフ) - ももりんごさん» ありがとうございますっ!これからも更新頑張ります! (2020年1月5日 18時) (レス) id: 475568ed92 (このIDを非表示/違反報告)
ももりんご - めっちゃ面白かったです( ^ω^)更新楽しみにしています。 (2020年1月3日 19時) (レス) id: d051f51274 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴバナナ(プロフ) - ひなたさん» コメントありがとうございます!応援ありがとうございます! (2019年12月25日 20時) (レス) id: 475568ed92 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リンゴバナナ | 作成日時:2019年12月20日 13時

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