こぼした涙は知っている ページ14
そして、ついにやって来た旅立ちのとき。
長かったようで短かった。
私は身支度をして午前3時30分に家を出た。
和臣が乗る電車は午前4時。
私は見送りと、手紙を渡すために駅に来た。
駅に着くと、和臣はその綺麗な顔に影を落としていた。
私は近づいて話しかけた。
「和臣、おはよう」
和臣はこちらを向いた。
「おはよ、彩。今日はわざわざ朝早くに来てくれてありがとう」
「今日は、手紙を渡しに来たんだ。受け取ってもらえる?」
すると和臣はもちろんだと言うように頷いた。
「じゃあさ、せっかくだからその手紙、読んでよ」
えっ、今読むの?
「ほら、早く読んで。電車が来ちゃうだろ」
私は急き立てられて読むことにした。
「人生の目標へ向かう和臣へ。
私は和臣の彼女になれて、本当に幸せです。私は和臣に伝えたいことが二つあります。一つは泣いたりして帰ってこないこと。もう一つは、どんなときでも私は和臣のことを思っているということ。この二つだけは、私のわがままかもしれないけど、守ってほしいです。あとは全力で頑張ってください。愛してるよ。彩」
最後の方は声が震えてしまった。
和臣の方を向くと、泣いていた。
「彩、読んでくれてありがとう。俺も、愛してるよ」
そして、私たちは抱き合った。
電車が来るギリギリまで。
時間は、来てほしくないと思ったときに限ってすぐに来てしまう。
本当にすぐ電車が来てしまった。
「じゃあ、そろそろ行かないと」
まだ涙で腫れた赤い目を擦りながら荷物を持って背を向けた。
笑顔で送り出すって決めたけど、やっぱり約束は果たせないかもしれない。
「約束、破っちゃうかも!」
私は大きな声で電車に乗り込む和臣に向かって言った。
すると、和臣は閉まり始めたドアの向こうで笑顔で振り返った。
私は、涙を一粒こぼした。
END
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リンゴバナナ(プロフ) - 穂乃花さん» 読んでいただき、ありがとうございます!これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします! (2020年3月22日 2時) (レス) id: 475568ed92 (このIDを非表示/違反報告)
穂乃花 - 完結おめでとうございます! (2020年3月16日 10時) (レス) id: 3a39613abc (このIDを非表示/違反報告)
リンゴバナナ(プロフ) - ももりんごさん» ありがとうございますっ!これからも更新頑張ります! (2020年1月5日 18時) (レス) id: 475568ed92 (このIDを非表示/違反報告)
ももりんご - めっちゃ面白かったです( ^ω^)更新楽しみにしています。 (2020年1月3日 19時) (レス) id: d051f51274 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴバナナ(プロフ) - ひなたさん» コメントありがとうございます!応援ありがとうございます! (2019年12月25日 20時) (レス) id: 475568ed92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リンゴバナナ | 作成日時:2019年12月20日 13時