検索窓
今日:7 hit、昨日:9 hit、合計:14,324 hit

こぼした涙は知っている ページ14

そして、ついにやって来た旅立ちのとき。

長かったようで短かった。

私は身支度をして午前3時30分に家を出た。

和臣が乗る電車は午前4時。

私は見送りと、手紙を渡すために駅に来た。

駅に着くと、和臣はその綺麗な顔に影を落としていた。

私は近づいて話しかけた。

「和臣、おはよう」

和臣はこちらを向いた。

「おはよ、彩。今日はわざわざ朝早くに来てくれてありがとう」

「今日は、手紙を渡しに来たんだ。受け取ってもらえる?」

すると和臣はもちろんだと言うように頷いた。

「じゃあさ、せっかくだからその手紙、読んでよ」

えっ、今読むの?

「ほら、早く読んで。電車が来ちゃうだろ」

私は急き立てられて読むことにした。

「人生の目標へ向かう和臣へ。
私は和臣の彼女になれて、本当に幸せです。私は和臣に伝えたいことが二つあります。一つは泣いたりして帰ってこないこと。もう一つは、どんなときでも私は和臣のことを思っているということ。この二つだけは、私のわがままかもしれないけど、守ってほしいです。あとは全力で頑張ってください。愛してるよ。彩」

最後の方は声が震えてしまった。

和臣の方を向くと、泣いていた。

「彩、読んでくれてありがとう。俺も、愛してるよ」

そして、私たちは抱き合った。

電車が来るギリギリまで。

時間は、来てほしくないと思ったときに限ってすぐに来てしまう。

本当にすぐ電車が来てしまった。

「じゃあ、そろそろ行かないと」

まだ涙で腫れた赤い目を擦りながら荷物を持って背を向けた。

笑顔で送り出すって決めたけど、やっぱり約束は果たせないかもしれない。

「約束、破っちゃうかも!」

私は大きな声で電車に乗り込む和臣に向かって言った。

すると、和臣は閉まり始めたドアの向こうで笑顔で振り返った。

私は、涙を一粒こぼした。


END

作者より→←笑顔で居られるように



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.2/10 (19 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2人がお気に入り
設定タグ:探偵チームKZ事件ノート , アーヤ×若武 , 若武和臣   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

リンゴバナナ(プロフ) - 穂乃花さん» 読んでいただき、ありがとうございます!これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします! (2020年3月22日 2時) (レス) id: 475568ed92 (このIDを非表示/違反報告)
穂乃花 - 完結おめでとうございます! (2020年3月16日 10時) (レス) id: 3a39613abc (このIDを非表示/違反報告)
リンゴバナナ(プロフ) - ももりんごさん» ありがとうございますっ!これからも更新頑張ります! (2020年1月5日 18時) (レス) id: 475568ed92 (このIDを非表示/違反報告)
ももりんご - めっちゃ面白かったです( ^ω^)更新楽しみにしています。 (2020年1月3日 19時) (レス) id: d051f51274 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴバナナ(プロフ) - ひなたさん» コメントありがとうございます!応援ありがとうございます! (2019年12月25日 20時) (レス) id: 475568ed92 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:リンゴバナナ | 作成日時:2019年12月20日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。