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涙を流した夜 ページ12

私たちは家に向かって歩き始めた。

でも、その間も話す言葉がなかった。

だって、話せるような雰囲気じゃなかったから。

私は和臣が言ったあの言葉をずっと頭の中で繰り返していた。

そして、繰り返す度に肩を落としてしまう。

『もう、後戻りはできない』

はぁぁー。

頭では分かってるんだけどね...

あぁ、なんか、泣きたくなってきた。

でも、私が泣いたらダメなんだ。

私は少し落ち込んでいる和臣を励まそうと、必死で言葉を考えた。

それで、たどり着いた答えは正解かどうか分からなかった。

でも、私が励まさないといけないから言ってみることにした。

「私のことは気にしなくていいから、ブラジルでも頑張ってきてね」

実際、気にしないなんてこと出来ないと思うけど、少しでも私の思いが届けばいいなって思った。

「うん、ありがと」

よかった。

私の思いが届いたらしい。

でも、もうすぐ和臣が旅立ってしまうなんて、一瞬も考えたくない。

しかも、和臣がやっぱり行かないなんてことを言い出したら私のせいになっちゃうから、もうこのことは考えないことにした。

そんなことを考えていたら、いつの間にか家に着いてしまった。

そして、とうとうここまで頑張って堪えてきた涙が溢れてしまった。

和臣には迷惑をかけなくなかったのに...

「いいよ。たくさん泣いて」

そう言って和臣は私を抱きしめた。

私は和臣の肩に顔を押し付けて泣いた。

少し気持ちが落ち着いてきた頃に、チラッと和臣の顔を見ると、和臣は目に涙を溜めながら夜空を仰いでいた。

本当に愛し合ってる彼氏と彼女が、1年間も遠いところに離れるっていうのに、悲しくないなんてこと、ないもんね。

私は和臣の肩から顔を離し、和臣に顔を向けた。

「ありがとう。落ち着いたよ」

「そっか、よかった。じゃあ、またね」

「またね」

私は和臣を見送った。

姿が見えなくなるまで。

笑顔で居られるように→←〜作者より〜2



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設定タグ:探偵チームKZ事件ノート , アーヤ×若武 , 若武和臣   
作品ジャンル:恋愛
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リンゴバナナ(プロフ) - 穂乃花さん» 読んでいただき、ありがとうございます!これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします! (2020年3月22日 2時) (レス) id: 475568ed92 (このIDを非表示/違反報告)
穂乃花 - 完結おめでとうございます! (2020年3月16日 10時) (レス) id: 3a39613abc (このIDを非表示/違反報告)
リンゴバナナ(プロフ) - ももりんごさん» ありがとうございますっ!これからも更新頑張ります! (2020年1月5日 18時) (レス) id: 475568ed92 (このIDを非表示/違反報告)
ももりんご - めっちゃ面白かったです( ^ω^)更新楽しみにしています。 (2020年1月3日 19時) (レス) id: d051f51274 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴバナナ(プロフ) - ひなたさん» コメントありがとうございます!応援ありがとうございます! (2019年12月25日 20時) (レス) id: 475568ed92 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リンゴバナナ | 作成日時:2019年12月20日 13時

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