34話 におい（2） ページ10
ワイヨ〜ッ ワイヨ〜ッ
アシﾘパと二人で笛を吹く。
アシﾘパ「鹿の通り道を回って鹿笛を鳴らせば鹿がいると勘違いしてアイツが来るかも知れない・・・か。流石アンケシだ」
アンケシ「でもうまくいくか・・・遠吠えにはたくさん種類があって真似はできないからな」
「だけど。獲物の声が聞こえたら必ず確認しに来るはずだ」
アシﾘパがポツリと「お願い気付いて」と呟いた。
アンケシ「・・・二人と合流できるかな」
アシﾘパ「出来るさ。私とアンケシの二人なら。
きっと」
いざとなったら。
一か八かでカムイに聞こう。
答えてくれるかは・・・分からないけど。
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ASide
杉元と山道を下る途中で。
杉元「きっと二人は追ってくるだろう」
A『あぁ。だからクチャは使わずに真っ直ぐ山道を下ろう』
『今夜は何もない更地で睡眠をとらなければ・・・』
杉元が溜息をついた。
杉元「A〜くっついて寝ようぜ。俺寒いの嫌だ」
A『ヤロウと添い寝する趣味はない』
杉元「じゃあ誰とだったらいいんだよ」
A『百』
杉元「兄さんじゃん。ヤロウじゃん」
・・・百って抱き心地(？)が良いんだよなぁ。
猫ちゃんみたいでポカポカしていて・・・。
杉元「へへッ！おりゃぁ」
突然杉元が俺に抱き着いてきた。
A『のわッ！？馬――』
杉元「うぉぉおぉ！？」
杉元の勢いが馬鹿すぎて俺と杉元は山道を転がり落ちた。
杉元「ぶばばばばッ ペッ 雪と土が口に・・・」
A『ｹﾞﾎｯ 最ッ悪ッ！！取り敢えず俺の背中から退けろ！！重いんだよ』
杉元「きゃぁッ 酷いッ！乙女の敵！！」
A『お前は乙女じゃなくてフトメだろ！！』
杉元「俺のは筋肉ッ！脂肪じゃない！！」
杉元がブツブツと文句を言いながら俺から退けた。
A『冷たいし寒いし・・・』
杉元「くっつく？」
A『・・・・・ん』
片腕をグイッとあげて杉元が入れる隙間を作る。
杉元「え」
A『寒いしくっつくって言ったのお前だろうが』
杉元が「えぇ？くっついちゃうのぉ？」と言いながら俺の腕に収まった。
A『俺このまま寝るから。湯たんぽよろしく』
杉元「・・・お前。それが目当てだな？」
A『ﾊｧ・・・明日は早くに出るぞ』
『街におりて囚人の情報を集めよう』
杉元「おう。じゃ、おやすみ」
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作者名：白文鳥 | 作成日時：2020年9月27日 22時
