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46話 手負いのマタギ(2) ページ47

アシリパ「肉ごと取り除いて処置したが他人の調合した毒だから助かるかどうかわからない」

苦しそうな顔をして浅い息をする谷垣ニシパ。

アンケシ「いずれにせよこの男はこれ以上動けないでしょう。もう終わりにしよう。
そもそも私たちは殺し合いに来たわけじゃない」

二瓶ニシパが谷垣ニシパの名前を呼び、言った。

二瓶「ここで待っていろ。必ず白い狼と烏を獲って来る」

  「ここを離れなければ今度は動けない谷垣が奴らの人質になる・・・・・」

二瓶ニシパ・・・なんて執着だ。

突然、アシリパの体が宙を浮いた。

そして、二瓶ニシパはアシリパだけを連れて走っていった。

アンケシ「あ!!待て――・・・」

谷垣「ゔぅ・・・」

足元で呻いている谷垣ニシパ。

私は・・・・・。

アシリパ「アンケシ!!来るなッッッッ」

アシリパがそう叫んだ。

アンケシ「アシリパ・・・うん」

アシリパならきっと。

杉元ニシパとAが何とか助け出してくれる。

なら、私は・・・・。

アンケシ「私にできること・・・持ってる知識で何とかならないかやってみるから」

谷垣ニシパの震える手を触る。

ベッショリと汗をかいている。

アンケシ「頑張れ。息を吸うんだ。
精一杯、生きようと足掻け」

谷垣ニシパが小さく頷いた。

谷垣「アン・・・ケシといったか」

アンケシ「あぁ。私はアンケシ。
【夜明け】や【明け方】という意味だ」

  「・・・罠を仕掛けた人がきっと来る。だからそれまで耐えろ。終わったら温かい場所で―――」

谷垣「俺を・・・二瓶の基に・・・連れて行ってくれない、か?」

アンケシ「・・・・え?」

谷垣ニシパが私の手を強く握った。

谷垣「何だか・・・・嫌な予感がする・・・頼む」

谷垣ニシパの瞳が私を真っ直ぐ貫いた。

アンケシ「・・・・・私の肩を貸しましょう。
無理せずゆっくり歩いて・・・」

谷垣「ありがとう」




今から追っても間に合うだろうか。

杉元ニシパとA二人が本気で狩りに行っていたら止められる気がしない。

アンケシ「途中疲れたら言ってください」

谷垣ニシパが小さく頷く。

誰かを支えながら歩く雪道はあまりにも進みづらくて。

途中何度もつまずいた。

アンケシ「ふぅふぅ・・・ふぅ・・・」


「【アンケシ。もう少しだ。頑張れ】」


待ってくれる人がいない。

私が進まないといけない。

アンケシ「はぁはぁ・・・」

アチャと歩いた雪道はもっともっと。

辛かった。

47話 重たい足どり(1)→←46話 手負いのマタギ(1)



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作者名:白文鳥 | 作成日時:2020年9月27日 22時

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