37話 追跡者(1) ページ17
アンケシSide
レタラ・・・来てくれるだろうか。
アシリパ「あ!」
アシリパが私の手を引いて走り出した。
アンケシ「レタラ!!」
真っ白な狼が私のもとに走ってきた。
アンケシ「よく来たぞ!偉い偉い」
レタラが得意気に鼻息をフンスと出す。
アシリパがポケットから杉元ニシパの靴下を取り出した。
アシリパ「杉元のかたっぽ靴下ちゃんだ。
かわうそを食べたあとに出て行ったからやっぱり忘れ物をした」
アンケシ「レタラこのにおいだ」
レタラからクサイと思ってそうな気持ちが伝わる・・・ごめんよ。レタラ。
アシリパ「レタラは目立つから夜を待とう」
私とアシリパが歩きだしたその時。
真っ白な羽が私の目の前を通り過ぎていった。
アンケシ「・・・シロ?」
シロが私とアシリパの頭上をぐるぐると旋回する。
《急げ》
アンケシ「・・・・・・・アシリパ。
夜が来たら直ぐに街に向かおう」
アシリパ「・・・わかってる」
シロが私の肩にとまった。
ーー
レタラの背に跨り小樽の街を徘徊する。
シロは頭上で人影を探している。
烏は人の顔を覚えていて記憶力がとても良い。
自分に害をなすものとそうではないものを瞬時に見分け、警戒心が強い。
烏が鳴くのは私達に何か大切なことを伝えるためだと考えられている。
ホロケウカムイとカララクカムイが味方にいることは心強いと思う。
レタラが古い家屋の前で止まった。
アシリパ「どうした?このなかにいるのか?」
アンケシ「・・・そうなの?シロ」
シロが《違う》と言った気がした。
そして、私の頭に飛び乗り《入ってみろ》と指示を出してきた。
取り敢えずアシリパとレタラが先にいってしまったので後を追う。
白石「うわあああ妖怪!?」
アシリパがストゥを振り下ろす。
白石「痛だッ」
この声・・・・脱獄王の・・・。
アシリパが
アシリパ「杉元じゃない。松崎でもない」
「お前は確か【脱糞王】の・・・・・」
白石「俺は【脱獄王】の白石由竹だ!」
白石ニシパが私達を睨みつける。
白石「なんだおめえは。このあいだのアイヌのガキじゃねえか」
レタラとシロが白石ニシパに噛み付く。
白石「いだだだだだだだッ」
アシリパ.アンケシ「「食べちゃダメ」」
でも・・・シロはともかく。
アンケシ「レタラがにおいを間違うはずがない」
アシリパ「杉元と松崎はどこにいる?」
34人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:白文鳥 | 作成日時:2020年9月27日 22時