35話 連行（3） ページ14
鶴見「そこまで。まだ殺すな」
A『・・・お久しぶりですね』
鶴見中尉が俺を見下ろしながらニヤリと笑う。
鶴見「なかなか滑稽な姿だな。不屈の松崎くぅん」
鶴見中尉が俺と杉元を見る。
鶴見「私はお前たちの死神だ。お前たちの寿命のロウソクは私がいつでも吹き消せるぞ」
ーー
兵士3「ここに入ってろッ！！」
A『ｹﾞﾎｯ ｺﾞﾎｯ・・・・ﾋｭｰ・・・ﾋｭｰ』
兵士の一人が俺を物置部屋の柱に括り付け室内を出ていった。
第七師団に連行された俺と杉元は別々の場所にへと連行された。
A『ッて・・・ﾋｭｰ・・・』
ここの部屋に来る途中で鬱憤ばらしにか良いようにされたので全身が痛む。
殴られ蹴られ・・・全身ボロボロだ。
A『ﾊｧ・・・ﾊｧ・・・』
ジワジワと血が滲んできて外套が赤く染みてきた。
口の中が切れて血の味が広がる。
A『許さねぇ・・・』
ここから出る方法を考えなければ・・・。
杉元は鶴見中尉とお喋りをしているらしいから長くなるだろう。
かといって昼寝をしている間に何をされるかわかったもんじゃない。
百は・・・恐らくここにはいない。
病院にでも運ばれているんだろう。
A『ｸｯ・・・逃げる方法がねぇ』
無理矢理拘束を解くのもいいがかじかんだ指を擦るのはキツイ。
杉元が帰ってくるまでのんびり待つとしよう。
ーー
杉元Side
変態中尉にみたらし団子を貰ってどうしたものかと考えていた時だった。
鶴見「【ふじみ ふじみ】」
「川岸で瀕死の部下が見つかり指で文字を書いた」
・・・・マズイ。
杉元「ごちそうさま。出口は向こうかな？」
鶴見「尾形上等兵をやったのはお前だな？
不死身の杉元」
・・・面倒なことになった。
双子二人に「座れ」と言われたので嫌味を言っておいた。
鶴見「一度だけ【不死身の杉元】を旅順で見かけた。すこし遠かったが・・・鬼神のごとき壮烈な戦いぶりな目を奪われた」
「あのとき見たのはお前だ。そば屋の大立ち回りを見てピンときた」
杉元「俺は第二師団だ。旅順には行ってない。
やはり人違いだったみたいだな」
変態中尉がみたらし団子を頬張りながら言う。
鶴見「なぜ尾形上等兵は不死身の杉元に接触したのか・・・・・それはお前が金塊のありかを示し入れ墨の暗号と〃カギ〃である松崎君を持っていたからだ」
「・・・とここまで話がつながることを恐れて我々から逃げようとした」
鶴見中尉がニヤリと口角を上げた。
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作者名：白文鳥 | 作成日時：2020年9月27日 22時
