16話 チタタプ(1) ページ9
アシリパ「このあたりの山には私たちが作った狩猟小屋があちこちにある」
「安全のために寝床は毎日かえた方がいい」
アンケシ「毎日 同じ巣穴に戻る獲物を捕まえるのは簡単ですからね」
杉元「二人の狩猟の知識は誰に教わったんだ?」
アシリパ「父だ。私たちには男の兄弟がいないから父たちの狩りに連れまわされた」
「私も家で編み物をするより山のほうが好きだ」
アンケシ「私は編み物も好きですが」
A『・・・・』
アンケシ「ところで、いつまでお前は拗ねているつもりだ?」
別に拗ねてない。
杉元「仕方ねぇだろ。あいつの狙いはお前と皮だったんだし・・・それに、先に攻撃してきたのはあいつだ」
A『チッ』
杉元「舌打ちしないで!?」
攻撃を仕掛けてきたから返り討ちにした。
それは別に良い。
俺が杉元ならそうする。
でも。
A『許さねえ』
杉元「なんでっ!あいつ何?お前の親友だったの?!」
A『違う』
杉元「じゃあ何」
A『唯一残った・・・・お前に教える義理は無い』
杉元が何かを言い返そうとしたとき。
ぐぅ〜〜〜〜〜
・・・え?
杉元「こんな状況でもハラは減るな」
アシリパ「生きてるんだから当たり前だ。小屋に着いたら食事の支度だ」
ギュルルン
アシリパの腹の音??
アンケシ「なあ・・・A」
A『なに』
アンケシさんが俺を見つめる。
アンケシ「さっきのシサム・・・Aの
A『・・・・・・え?』
アンケシさんがジッと俺を見つめてフッと微笑む。
アンケシ「大丈夫。助けが来たみたいだ。生きてるってさ」
・・・この女。
便利な能力を持ってやがる。
A『ハッ。俺の兄貴をナメんな』
『アイツがそう簡単にくたばるわけねえ』
アンケシ「嬉しそうだな」
・・・。
アシリパとアンケシさんの
アシリパ「罠で穫れたリスを食べよう」
杉元「丸焼きにするのか?」
アシリパ「いやチタタプにする」
杉元「チタタプ?」
A『刃物で叩いてひき肉にするアイヌの料理だ』
アンケシさんが料理法を説明してくれた。
アンケシ「まず皮を剥きます。リスの毛皮は切れ目を入れれば服を脱がすように手で剥けます」
「内蔵は内容物をしごき出してきれいに洗う。胆嚢は苦いから取り除きます」
アンケシさんの表情が、曇った。
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作者名:白文鳥 | 作成日時:2020年9月19日 20時