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31話 獣の眼(2) ページ49

アンケシSide
夕食を食べたあと私たちは休息をとった。

アシリパと杉元ニシパは見つめ合うような形で眠り、私とAは背中合わせで眠っている。

Aとは・・・合わない。

色々と。

でも・・・私のもう一人の相棒がAで良かったと思う。


私とは違う考えだからこそ。

厳しくも的確なことを言ってくれるからこそ。

自分の過ち、Aの過ちに気づくことが出来る。


アンケシ「A。そっち向いても良いか?」

A『・・・俺もそっち向く』

起きてたのか・・・。

クルッと互いに顔を見合わせるが暗くて何も見えない。

A『杉元とアシリパは仲が良いよな』

アンケシ「あぁ。まぁ二人とも親しみやすい性格だし」

乾いた笑みを漏らしたAがポツリと呟いた。

A『昼間・・・厳しいことばかり言って悪かったな。反省してる』

アンケシ「え?あぁ・・・私が勝手に行動したせいだから―――」

A『俺、本当は嬉しかった・・・のかもしれない』

え?

A『心配してやっ来てくれたこと。本当は凄く嬉しかった。だけど・・・あんな事言ってしまった』

嬉しかった・・・か。

アンケシ「・・・今度はちゃんと気をつけてから行動するよ」

嬉しかったと思われてて嬉しい・・・。

アンケシ「私、Aが初めてなんだ」

A『ん?』

アンケシ「シサムの皆は最初に私の耳の話を聞いたら真っ先に私を商売にしようと考える」

  「杉元ニシパは私の耳のこと知っているか分からないから何とも言えないけど・・・」

  「とにかく、話を聞いても悪巧みをしなかったのがAだけだった」


フチが私にいったこと。
いや、Aにもいったこと。

それは、私とAには考えられないようなことだったけど。

そうだったら良いのにって思ってしまった自分もいた。

互いに嫌いなモノ同士が手を組んでいるのに。


アンケシ「やっぱり私はまだシサムが嫌いだ。
それはいつまでも変わらないと思う」

A『・・・アンタの過去が関係してんの?』

私の過去・・・そうかもしれない。

アンケシ「私―――」

A『似てんだな。以外に俺とアンタ』

アンケシ「・・・そうかな」

Aの頬に何となく手を伸ばすとAは私の手を拒んだ。

A『顔を触られるのは苦手なんだ』

アンケシ「すまない」

Aがポツリと呟いた。

A『俺の大事な人とアンタ似てるから』

Aが寂しそうに微笑んだ気がした。

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作者名:白文鳥 | 作成日時:2020年9月19日 20時

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