29話 呪われた砂金(1) ページ43
俺たちはお婆ちゃんのお手伝いをしようと言うことで川にやってきた。
子熊は杉元が面倒を見るらしい。
一緒に連れてきた。
アンケシ「ヘペレエシノッペ。子熊の玩具です」
アンケシさんが杉元に子熊の玩具を渡す。
杉元「ぶぶぶぶぶ」
子熊「ブブブブブ」
アンケシさんと杉元が子熊を愛でているのを俺とアシリパで眺める。
アシリパ「松崎は触らないのか?」
A『お前と同じだ。情が移らないように触らない』
アシリパが目を細めた。
アシリパ「ラウォマプという川魚用の罠だ。
昨日のうちに仕掛けておいたのを引き揚げた」
杉元「すげえ捕れてる!」
アシリパ「エゾハナカジカだ。
こいつらは寝るときに岸に来るからラウォマプを岸の近くに沈めておいた」
アンケシ「カジカは冷たい水が好きだから冬によく捕れます。冬のカジカは脂がのっていて美味しいんだ」
アシリパがタシロを取り出して言う。
アシリパ「鍋にする分はここで内臓をとってしまうから杉元と松崎も手伝え」
杉元「やべ・・・小刀も銃剣もアシリパさんの家に忘れてきた」
アンケシ「はぁ?」
アシリパ「カジカは早く捌かないと味が落ちる。
早く取りに行けバカ!」
杉元「ヒドーイ」
杉元が手招きして俺を誘う。
杉元「松崎〜アイヌ語わからないから通訳用についてきてー」
A『・・・いいよ』
アンケシ「早く帰って来いよ」
俺と杉元はアシリパたちの家に向かう。
杉元「こっちの林を突っ切ったほうが早いな」
・・・ここ。
A『おい杉元。そこは通らないほうが――』
マカナックル「止まれ!そこを動くな!」
杉元がアイヌのオッサンの一声で立ち止まる。
このオッサン・・・オソマって子と似てる。
マカナックル「・・・お前!
オッサンが俺を見て驚いた声を上げる。
A『何処かでお会いしたことありましたっけ?』
杉元が俺の隣に立ちオッサンを睨みつける。
杉元「・・・・・・・・・なんか用か?」
マカナックル「足元のヒモに触れるな!」
杉元「!?」
そう言われて俺と杉元が地面を見ると・・・。
A『・・・あ』
アマッポのヒモだ。
マカナックル「これは【アマッポ】という仕掛け矢でヒモに触れると毒矢が飛んでくる。
熊や鹿などを捕るものだがこれはカワウソを捕るために置かれた」
「A。お前は知ってるよな?」
・・・何処で俺の名前を?
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作者名:白文鳥 | 作成日時:2020年9月19日 20時