27話 カムイモシリ(2) ページ39
居候、か。
アンケシさんが寂しそうに微笑んだ。
アンケシ「母は樺太で・・・亡くなりました。私は父と幼い頃北海道に二人で渡って来てその父も5年前に死んだから今はアシリパとフチにお世話になっています」
アシリパが言う。
アシリパ「エカシは6年前に病気で死んだ。
母は私を産んですぐに病気で死んだからよく知らない」
お婆ちゃんが口を開く。
まあ、ザッと訳すと。
「アンケシはともかくアシリパは山に入ってばかりで女の仕事が出来ない」
「縫い物や織物も女の仕事が出来ない女はアイヌの夫を持つことも出来ない」
A『へーー』
アシリパとアンケシさんは口周りの入れ墨を嫌がっているのか。
アシリパ「入れ墨は嫌だって言ってる女の子はほかにもたくさんいる。フチは古い!」
アンケシ「そうだそうだ!」
・・・お婆ちゃん大変だろうに。
「杉元の旦那か松崎の旦那。この女の子を嫁に貰ってくれ」
「孫が心配で私はこの世を去ることも出来ない」
杉元「・・・・・お婆ちゃんなんだって?」
A『杉元にアシリパを――』
アシリパが俺の言葉にかぶせた。
アシリパ「うんこ食べちゃ駄目だって」
耳まで真っ赤にしてるし・・・。
杉元、脈あり??
杉元「うんこじゃないですよ〜?お婆ちゃん!
味噌なんですよ〜?」
アンケシさんが俺を睨む。
アンケシ「そういうのはなぁ。濁しながら・・・」
お婆ちゃんが俺とアンケシの手をとりポツリと呟いた。
アンケシ「・・・え」
A『・・・ん?』
アンケシ「ななな!?ないないない!!」
A『お婆ちゃん。落ち着いてくださいね〜』
杉元「え!?なになに!!??」
アシリパ「松崎ィ〜?照れてるのかぁ?」
・・・照れてない。
俺は・・・もう・・・。
オソマ「シンナキサラ」
あ?
杉元「なんだい?」
アンケシ「こらこら。オソマちゃん」
アシリパが杉元に言う。
アシリパ「私たちと違う変な耳だと言ってる。
アイヌの耳たぶは丸くて厚い」
オソマ「おい変な耳」
杉元「俺は杉元ってんだ。こっちのイケメンは松崎A。お嬢ちゃんは?」
女の子が鼻を擦りながら言う。
オソマ「あたし【オソマ】」
杉元「うんこだろそれ。バカにしやがって」
A『いや。嘘じゃないと思うぞ』
杉元が俺を睨む。
杉元「もう騙されねぇからな」
・・・子熊のことまだ根にもってんのか。
アシリパ「ほんとうだ。その子はオソマと呼ばれてる」
杉元「え?」
アンケシさんが説明する。
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作者名:白文鳥 | 作成日時:2020年9月19日 20時