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25話 説教(3) ページ35

アンケシSide
Aはフイッとそっぽを向くと銃を肩に下げ直し溜息をついた。

A『怪我は?』

アンケシ「え・・・な 無い」

ホッと胸を撫で下ろし私の目の前に立つとゆっくりしゃがんだ。

青黒い瞳が悲しそうな安心したような眼で私を映していた。

ビンッと額にニブイ痛みが走る。

A『もう・・・首突っ込んでくんなよ。
アンケシさんが手を汚してからじゃ遅いんだ』

アンケシ「・・・・・」

Aが立ち上がり辺りを見回す。

A『杉元は終わったか・・・?』

そういえば、杉元ニシパが近くにいない。

アンケシ「別行動中?」

A『あぁ・・・あ。終わったみたい』

Aが森の奥を見つめ目を細めた。

そして、私の両目を隠す。


アンケシ「な、何??」

A『子供には・・・刺激が強すぎるから』

何だろう・・・。


数回・・・銃声が響いた気がしたが、真っ暗で何も見えない。

アンケシ「私・・・アシリパの方に行ってくる」

A『ん』

Aがクルッと反対側を向いてから手を退けた。

A『振り返らずに真っ直ぐ走れ』

アンケシ「え?」

A『リコシノッ、されたくないだろ』

投げ上げ??

アンケシ「うん・・・」


振り返らずに私は真っ直ぐ走った。

何だかA。

怖いくらいに穏やかな声をしていた。


ーー

アシリパ「お前は最後のホロケウカムイ(狼の神様)なんだから。私のためにウェンカムイ(悪い神様)なんかになっちゃだめ」

  「でも助けてくれてありがとう」

アシリパはレタラと戯れていた。

アシリパ「あ!アンケシ」

アンケシ「アシリパーー!!無事だったか!」

アシリパと抱きしめあって互いの無事を確かめ合う。


・・・やっぱりA。狼に似てる。


レタラが私のもとにやってきてベロベロと舐め回してきた。

アンケシ「くすぐったいぞ。レタラ。アシリパを守ってくれたのか。ありがとう」

アシリパが私とレタラの様子を微笑んで見ている。

・・・。

アンケシ「アシリパ。その・・・置いていってごめん」

アシリパ「え?あぁ?気にするな。
なんだ?松崎にでも怒られたか?」

アンケシ「・・・うん」

アシリパがニッコリと笑う。

アシリパ「松崎のことだからお前を心配して厳しいことを言ったんだろう。落ち込むな」

・・・でも、うん。

アンケシ「私・・・もう少し考えて行動するよ」

・・・もう足手まといって思われたくないから。

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作者名:白文鳥 | 作成日時:2020年9月19日 20時

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