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22話 イセポの君(2) ページ24

A『ッ・・・赫・・・映・・・』

シサムの猟師がアチャと猟をしたときにこんな話をしてくれた。


「【ウサギは孤独で死ぬ。小さな小さな生き物だ】」


アンケシ「・・・Aはイセポだ」

イセポの毛皮を着たホロケウカムイ()だ。


杉元ニシパとAの関係が良くわからないけど。

杉元ニシパはAを放さないでいてくれるだろう。



「【アンケシ。アチャと北海道に来るか?】」

「【ここに残ってもお前は・・・自由になれない】」

「【寂しい時は手を握ろう。一度掴んだものは離れないで居てくれるから】」



不思議と笑みが溢れてきた。

アンケシ「イセポは・・・私か・・・」

Aの手の平に自分の手を重ねる。

そして、アシリパの小さな手にも。

アンケシ「私を・・・置いていかないで。
アシリパ、A、杉元ニシパ・・・・」


アチャ・・・・ハポ・・・・。

どうして、私を置いていったの?

アンケシ「一人は・・・怖いなぁ・・・」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ASide
夢をみた。

彼女と手を繋いで歩いている夢を。

赫映「たまにね不思議な気持ちになるの」

A『不思議な気持ち?どんな?』

赫映が「あのね」と笑った。

赫映「この道を貴方と歩いていると。時々・・・泣いてしまいそうになるの」

  「ねぇ。A君は何処から来たの?」

A『・・・さあ』

俺は何処から来たんだろう。

赫映「道に迷ってしまうんじゃないのかなって思うんだ」

A『・・・そう』

赫映「こうして繋いでいる手が・・・・いつか離れてしまうんじゃないのかなって思う。でも。決まってこう思うんだ」

赫映がフフッと微笑んだ。

赫映「A君とは・・・例え遠くに離れて会えなくなってしまっても・・・繋がっていられるんじゃないのかなぁって」

A『・・・無理だよ』

歯車はズレたらそこで終わり。

もう二度と噛み合うことは無い。

赫映「ううん。出来るよ」

赫映が両手で俺の手を包み込んだ。


赫映「私とA君の眼は今ちゃんと互いの姿を映しているでしょう?」

  「私・・・例えどんな姿になったとしてもA君を見つける自信ある」

そんな事、出来るわけない。

だって赫映・・・お前はもう・・・・。




「大丈夫。進むのが怖いのなら私がAの手を引こう」

「前が見えないのなら私が引っ張ってやる」




掴んでいいのか?

俺は・・・もう・・・失いたくないんだ。

でも、一人は怖いなぁ。

23話 逃走(1)→←22話 イセポの君(1)



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作者名:白文鳥 | 作成日時:2020年9月19日 20時

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