19話 光と影(1) ページ17
ASide
杉元「ここは雪庇の上だっ」
「うおおおおおお」
杉元が叫びながら落ちて行った。
A『あぁぁぁ!!ッたく!!』
道を回って二人を追いかけよう。
A『クッソ!!』
シロが俺の基に飛んできた。
A『杉元を探せ!!急げシロッ』
シロが一声鳴いて崖下に向かって飛んでいった。
A『杉元ーーーーー!!!』
アイツ・・・直ぐに突っ走るから・・・。
近衛師団「オラァッ!!」
バギィッと後頭部に鈍い痛みが走る。
A『ッ(いつの間に・・・!)』
完全に倒れ込む前に男に足技を繰り出す。
近衛師団「な!?」
男と俺は山道を転がった。
A『ッて』
ようやく転がり終わったのはいいが、全身を打った痛みで視界が霞む。
A『はー・・・クソ』
戦争から生き残ったら、俺に干渉しねぇって言った癖に。
嫌・・・最初からアイツを信じた俺が悪いか。
A『ッ』
地面に生えていた草を握る。
ブチッと引っ張っては抜いて、また引っ張るを繰り返す。
「【A君。立って】」
また、彼女の声。
A『うるせェ・・・』
立てるか。
「【そんなに絶望しないで。前を向いて】」
前を向く方法なんて覚えてねぇよ。
もう・・・放っといてくれ。
ソッと誰かの手が俺の背中に触れた。
追手かと思い側に落ちた銃を拾いソイツに向ける。
アンケシ「・・・何かあった?」
A『・・・』
なんだ。アンケシさんか・・・。
アンケシ「そんなところで寝っ転がって。
風邪引くぞ。杉元ニシパと囚人は?はぐれた?」
A『あぁ・・・杉元たちなら崖下』
アンケシ「なに!?」
アンケシさんが辺りを見回す。
アンケシ「・・・カムイは大丈夫って言ってるし・・・一先ずアシリパの基に帰ろう?」
A『・・・・』
アンケシ「ん?頭・・・殴られたのか?」
「血が滲んでる」
あぁやっぱり血が出てたのか。
生暖かかった訳だ。
A『アンケシさんはさ・・・良いよな』
アンケシ「なにが」
A『アンタには信じられるものがあるじゃん』
アンケシさんがその場に座り込む。
アンケシ「信じられるもの?カムイのこと?」
A『何でもだよ』
アンケシさんが少しの沈黙の後に呟く。
アンケシ「Aにだってあるだろ」
A『杉元のこと?・・・アイツは目的の一致ってやつだ』
『人間なんざいつ裏切るか分かったもんじゃない』
アンケシさんが俺の背中をそっと撫でた。
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作者名:白文鳥 | 作成日時:2020年9月19日 20時