16話 チタタプ(3) ページ11
アシリパとアンケシさんが手際よく汁物を作る。
「【A君。ほら。いい匂いでしょう?早く百ちゃんも呼んで食べましょう!】」
・・・・。
アシリパ「血も骨もすべて使ってチタタプにしたから塩味も出汁もしみ出している」
アンケシさんが俺に汁物を注いでくれた。
A『有難う。いただきます』
杉元「ハグッ ハフハフ。ん・・・!!うまい・・・ッ!!」
杉元の顔がパァッと輝く。
杉元「肉は臭みが無くほんのりと甘くて木の実の香りがある。柔らかい肉の中に細かく刻んだ骨のコリコリした食感が良い!」
・・・食レポ。上手いな、コイツ。
アンケシ「美味しいか?A」
A『ん、ああ』
アシリパもアンケシさんも汁物を口に入れて微笑んだ。
アシリパ.アンケシ「「ヒンナヒンナ」」
杉元が不思議そうな顔をしてアシリパに聞く。
杉元「なんだい?それ」
アシリパ「食事に感謝する言葉。私たちは食べながら言うんだ」
杉元が目を細めて呟いた。
杉元「ヒンナ」
「ヒンナヒンナ」
ーー
で、当然のように俺も言わなければいけないような流れになった。
杉元「松崎ィ〜ヒンナか?」
アシリパ「松崎はぁヒンナって言えるかな?」
アンケシ「・・・無理強いは駄目だ。二人とも」
「で、どうだ?ヒンナか?」
・・・・・。
「【A。ほら。こっちも食べなさい】」
「【私もお腹の中にいる子の為に沢山食べないと】」
そういえば、先程から頭の中に浮かんでは消える女の顔。
どことなく誰かに似ている・・・。
アシリパ「なあなあ美味いのか?どうなんだ?」
・・・あぁ。
そっか。
A『・・・・
アシリパに、似てるんだ。
アシリパの青い瞳が嬉しそうに揺れ、アンケシさんは優しい瞳で俺を見ていた。
34人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:白文鳥 | 作成日時:2020年9月19日 20時