225話 逆毛（2） ページ43
菊田特務曹長は語気を強め、Aを見つめた。
菊田「松崎大将の一件だって貴方には正当な理由がある筈だ。貴方は悪くありません」
A『・・・相変わらず面倒見が良いことで。そうやって騙し俺を連れ戻す気か』
菊田「・・・違います。聞いてください。
松崎少尉」
「俺は貴方をひとりにさせず、この争奪戦から解放させてやれる」
「そこの建物で身を潜めている娘も」
A『・・・・・アンケシさんを？』
『・・・でも、俺は―』
ズドンッ ドンッ ドンッ・・・・・！！
A『ッゴフッ・・・・』
菊田「！？」
Aの身体がぐらりと傾き、血が地面を赤く染めた。
その瞬間、アンケシが堪らず建物から飛び出してきた。
アンケシ「Aッ」
一人の兵士がアンケシを捕まえ、押さえつける。
アンケシは動かなくなったAに声をかけ続けた。
菊田「月島軍曹ッ 何をしている！！」
「お前らも・・・！！」
二人を囲んでいた兵士と月島軍曹が持つ三十年式歩兵銃の口からは煙があがっていた。
月島が平然と答える。
月島「【首を縦に振らなかった場合は死刑を執行しろ】と鶴見中尉から命令されていたので」
菊田「・・・・でも今」
月島「諦めだけは悪い男です。生かしたとしても後々邪魔な存在になる」
「それに・・・金塊の場所を思い出しているかもしれない男を逃がすわけにはいかない」
「暗号の鍵は二人もいれば十分です」
淡々とそう告げると月島軍曹はアンケシを連れてその場を離れていった。
アンケシ「Aッ！！Aッ！！」
「むぐっ・・・・！？」
菊田特務曹長は眉をひそめ、Aに目をやる。
動く気配は無い。
菊田「親父さんに人生を翻弄された挙げ句、
招いたものがコレか・・・」
「鶴見中尉は何と言う奴だ・・・」
菊田特務曹長は背を向けると月島軍曹の背中を追いかけ、歩いていった。
ーー
逃げ走っているアシﾘパと杉元のもとにシロが飛び出した。
杉元「・・・シロ！？」
アシﾘパ「まさか、松崎とアンケシの身に・・・」
月島「止まれッ」
「逃げられんぞ。杉元ッ」
杉元とアシﾘパに追いついた月島軍曹が杉元に銃を向けた。
杉元「・・・・・」
杉元は月島軍曹に目をやるも、そっぽを向いて走り続けた。
月島軍曹は迷うことなく引き金を引いた。
部下たちもそれに続く。
月島「撃つなッ アシﾘパに当たる！！」
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白文鳥 - ととさん» 嬉しいお言葉を有難うございます！訳あってこの作品はpixivにお引っ越ししました。励みを有難う御座います！そちらの方で頑張ります！ (2022年1月8日 19時) (
レス) id: 50fca864bb (このIDを非表示/違反報告)
とと - ここまで一気に読み進めてしまいました。続きが読みたくて、急いで単行本を読みました笑 主人公と周りとの距離感がたまらなく好きです。 (2021年6月24日 22時) (レス) id: 2c3ad1893b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白文鳥 | 作成日時：2021年1月18日 21時
